牡丹社事件に関する展示会(3日付本紙9面)…
- 2025年04月14日
- 不連続線
牡丹社事件に関する展示会(3日付本紙9面)が始まる日の朝のこと。前の晩に泊まった石門集落(屏東県牡丹郷)から会場に向かおうとすると、通りでおしゃべりをしている人たちがいた。食品販売のワゴンに集まっている。私がよそ者だと気付いた人が、手作りの食べ物を紹介し始めた▼そのなかに、小さな実を細長い容器に詰め込んだものがあった。辛味のある調味料だそうだ。「ラージアオ」を酒で漬け込むのだという。「ラー」はラー油の「ラー(辣)」、「ジアオ」はチンジャオロースの「ジャオ(椒)」。台湾で標準的に話されている言葉でトウガラシの意味だ▼ただし、ここは原住民族(台湾での「先住民族」の呼び名)の村だ。パイワン族の人が多い。民族の言葉があるはずだ▼後日、この村に住む知り合いに尋ねると、「カマングル」だと教えられた。カマングルを酒に漬け込むと、台湾版コーレーグースになる▼ワゴンを離れ、取材に向かおうとすると、別の人がだしぬけに「ミヤコ」と言った。「宮古?」「牡丹社事件との?」。そうではなかった。1本200円だと日本語で言おうとしていた▼台湾は多言語な社会だと、頭では分かっている。しかし、いざその渦に放り込まれると、あわててしまう。肝心の味見をし忘れた。悔やまれる。(松田良孝)
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