ゆいぴとぅ憲章制定 西表・干立
- 2025年04月12日
- 地域・教育
西表島西部の干立公民館(伊谷玄館長)はこのほど、地域の保全や継承に向けた方針や施策をまとめた「干立村ゆいぴとぅ憲章」を制定した。自然環境や伝統文化を守るなどの行動を定めた「村づくり五箇条」を宣言している。伊谷館長が11日、前泊正人竹富町長に報告した。
伊谷館長によると、西表島が世界自然遺産として注目されるようになってから、島外資本による土地取得や無計画な開発や地域とのあつれきなどが生じ始め、地域の存続のため憲章を制定する必要が出てきたという。
2019年に制定に向けた取り組みを始め、翌20年に準備委員会を立ち上げた。住民同士で勉強会を重ねたり、竹富島憲章や白保村ゆらてぃく憲章など既に憲章がある先進地域を訪問し制定経緯や方法について学んだりした。今年3月31日の総会で承認された。
憲章理念には「命をつなぎ、知恵と文化を育んできた自然に感謝し、先人たちが紡いできた結の心と伝統文化を誇りに、村づくりを推進します」と掲げた。
また、柱となる「村づくり五箇条」を定め、「伝統文化を守り、次世代に受け継ぎます」「豊かな自然環境を守り、自然と共に生きる暮らしを営みます」などと宣言。各条文ごとに具体策も示した。
「ゆいぴとぅ」は、ユイピトゥ木(和名ヤンバルアワブキ)から取った。干立では家の落成祝いのときにユイピトゥ木とチガヤを束ねて中柱に結びつける風習があり、「ユイ」には人々の力を結び合わせるという意味があることから憲章名とした。
憲章全文は12㌻の冊子にまとめており、島外資本向けに村独自の取り組みをアピールするときなどに活用する。
伊谷館長は11日、竹富町役場を訪れ、制定経緯などを説明。「変化に対して受け身ではなく、地域としてどうあるべきか考え行動する必要があった。住民一人一人が干立の自然と文化、暮らしを大切に守り育てていけるよう取り組んでいきたい」と述べ、前泊町長に冊子を手渡した。
前泊町長は「干立村の存続のために住民の皆さんが考えた結晶だと思う」と述べ、町政にも活用する考えを示した。
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