医療データなど共有
佐賀知事、関係団体と意見交換
【与那国】台湾有事などの際、避難元となる与那国町の住民と受け入れ先となる佐賀県の山口祥義知事の意見交換会が8日午前、嶋仲公民館で開催された。同町側からは糸数健一町長をはじめ、町議会の崎元俊夫議長と大宜味浩利副議長、町社会福祉協議会の嵩西茂則会長、町商工会の杉本和信会長が参加し、避難が長期に及んだ場合の子どもたちの学びの保障や医療的ケアの必要な人への対応などについて話し合われた。
意見交換会には、佐賀県側からは山口知事のほか佐賀県危機管理・報道局の三角治副局長、民間からは佐賀県経済同友会の中尾清一郎代表幹事が参加した。
町社協の嵩西会長は「島内には医療的配慮が必要な人もいる。日ごろから医療に関するデータを佐賀県や避難先の自治体と共有して万が一の際にスムーズに適切な医療につなげる必要がある。有事が起きたら紹介状など準備する時間的余裕はないと思われる」と指摘した。避難が長期化する可能性も懸念。「有事が起きた際の避難は1年以上になる可能性もある。宿泊先はどのようなものが確保できるのか」と質問。これに対し、山口知事は医療対応について「不可能ではない」と説明。長期にわたる避難については、ロシアの侵攻以降、ウクライナ人を現在も受け入れている例を挙げながら「長引く可能性はある。さまざまなバリエーションに対応する避難のあり方を一緒に考えていくことに意義がある」と述べ、今後の計画に反映していく考えを示した。
大宜見副議長は「子どもたちの教育の問題も関わってくる。小中学生はすぐにはなじめないかもしれない。授業の中で佐賀について学ぶ必要がある」と指摘。三角副局長は「来島して小中学校の現状を聞けた。学校単位で避難できるよう計画を変更する」と応じた。
町商工会の杉本会長は「島を離れて胸がはりさけそうな、つらい思いをしていても、知人がいるだけで救われる。いまから入り口を開いて、与那国と佐賀で官民の交流を図っていきたい」と避難計画を機会に関係聞や住民同士の交流の重要性を訴えた。
意見交換会を終えた糸数町長は「懸念事項はたくさんあり、行政への負担は大きい。それに対して佐賀県がしっかりと島のことを真剣に考えてくれているのはありがたい。島を離れたくない人もいると思うが、説明責任をしっかり果たして万が一の事態にはスムーズに佐賀県に避難できるよう取り組んでいきたい」との考えを示した。
山口知事は「島の人の思いをなおざりにしていたら避難計画は、よいものにならない。きょうは代表の方だけだったが、1700人の住民の声があるので、今後、いろんなところで多くの交流が生まれていけばいい方向に進むと思う。佐賀県民にも共有していきたい」と話した。
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