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かつて島々には子守の習わしとして守姉…

 かつて島々には子守の習わしとして守姉(むらに)がいた。忙しく働く親の代わりに乳幼児(むりふぁ:守子の意)の世話をみる遠縁や近所の女の子である。賃金などなく遊び相手やおむつ替えなど世話をみた。その関係は生涯続く絆の強さを誇ったという▼小浜島でむりあんねー、多良間島でむれねえ、奄美でむいあにと呼んだ。わが家の長兄、次兄には守姉がいるが三男にはいない。地域社会の変容に伴い「子守の風景」も少しずつ変わったのだろう▼子守唄には子を寝かしつけるための唄と、口減らしのため子守奉公に出されたわが身の悲哀を慰める唄があるという。熊本の「五木の子守歌」が後者の典型である。哀愁を帯びたメロディーが切ないが、歌詞を読めばなお物悲しい▼それに比して、われらが「あがろうざ」は飛びぬけて明るく出色である。「腕ば痛(や)み守りひゅうば」「大人(うふひとぅ)高人(たかひとぅ)なりとうり」と守子の健やかな成長や立身を願い、まいふなー生(ま)りるよう「産(な)しゃる親とぅゆまし 姉名とぅらし」と守姉の誇りを歌った▼初孫誕生のさい、うれしくて神奈川県相模原で三線を弾きあがろうざを高々と歌ってきた▼今春、高知で新しい生命を授かった。守姉はもういないが、あがろうざの思いは同じである。(慶田盛伸)

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