ベチベルを薫製チップに
新たな活用法を提案
赤土流出防止対策のグリーンベルトとして植えられるベチベル(イネ科多年草)の2次活用に取り組んでいる石垣市赤土等流出防止営農対策地域協議会が、新たな活用法として薫製チップを提案している。第1弾の取り組みとして3月16日の「石垣島ハーベストフェス~生産者と料理人が紡ぐ島の物語~」で行われた料理コンテストに出場、薫製に使用したベチベルをPRした。今後、活用を促していく。
同協議会は、赤土流出防止対策をしながら農家が収益を得られる仕組みをつくろうと、ベチベルを2次活用して商品化する取り組みを進めている。これまでカツオのたたき用や焼き物の火だすき用、しめ縄やアンツク(編籠、網袋)などのクラフト用としての活用法を見いだしており、今回は新たに乾燥ベチベルを3―5㌢程度にカットして薫製チップにした。
料理コンテストでは、ベチベルで豚肉を薫製にし、八重山そばにも香付けを行った。皿もベチベルで模様を付けた焼き物を使用した。同協議会農業環境コーディネーターの須藤美香さんと水谷朝子さんが「畑も海もおいしく守り隊!赤土協議会!」の料理名で出品した。
惜しくも入賞は逃したが、審査員代表を務めたイタリア料理専門店「リストランテ・テラ・イリオモテ」の鄭彰彦オーナーシェフは取材に「どこか懐かしい香ばしさ、長く後を引くことなくどことなく土の優しさを感じる香りは、稲の仲間であるベチベルの個性そのもの。薫製チップとしても、火をともす時間が少ないからこそ香りに苦みが少ないのではないか。バターやなたね油に香りを移したり、油分の多い食材に香りを移すなどの活用法を見いだせば、八重山の“現在”を表す素材としてさらに可能性が高まるだろう」と期待する。
両コーディネーターは「まだまだベチベルにはたくさんの可能性があると思う。2次活用の需要が増えると、ベチベルを植える農家が増え、赤土流出防止対策が進む。ベチベルを普及させ、自然環境の保護とSDGsにつながる取り組みを広げていきたい」としてベチベルの2次活用を呼びかけている。
問い合わせは同協議会(82―1307石垣市農政経済課内)。
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