特定利用優遇なし 国交省25年度予算
- 2025年04月03日
- 政治・行政
石垣港が特定利用港湾(特定重要拠点施設)に指定されて1日で1年になった。石垣市では、指定により港湾整備事業の促進に期待が高まっているが、国土交通省の2025年度当初予算で石垣港整備事業の関連予算は24億8千万円と例年通りの額にとどまった。同省は八重山毎日新聞社の取材に、特定利用に指定された空港・港湾に対して特別枠の予算配分や事業を前倒しして行うなどの優遇措置は「ない」と回答。現時点で特定利用指定がもたらす建設業などへの経済効果は〝幻想〟と化している。
特定利用の指定は、自衛隊や海上保安庁が訓練などで平時から円滑に使えるよう公共インフラを整備・拡充する政府の取り組み。今月1日の追加を含めて全国の指定箇所は11空港、25港湾。県内は宮古島市管理の平良港のほか、那覇空港につながる「那覇北道路」「小禄道路」「豊見城東道路」の三つの国道も選定。
昨年4月1日に指定された石垣港は石垣市が管理。また市は、新石垣空港についても設置管理者の沖縄県に対して、国への指定同意を催促している。
指定された港の岸壁や施設、空港の滑走路延伸やエプロン拡張などは、民間需要を前提に国土交通省の予算で行う。中山義隆市長らは予算枠の新設や既存事業の促進による港湾整備の前倒し、空港の滑走路延伸・エプロン等の整備などが加速することに大きな期待を寄せている。
しかし、国交省が新年度当初予算で示した石垣港の整備事業は、既存計画の岸壁や泊地、防波堤整備などの予算は組まれているが、特定利用指定に伴う新たな予算や事業促進策は含まれていない。
同省港湾局担当者は「特定利用になっても、現港湾整備事業の別枠に新たな予算が付くわけではない。あくまで今までの整備事業の予算を引き続きやっていく」と予算が特別に付くことを否定。特定利用の認識について「民生ニーズで進める整備に加えて自衛隊さんや海保さんのニーズ、政策的な重要性に配慮して着実に事業を進めていくというニュアンスだ」と述べた。
政府は、新石垣空港も特定利用指定の候補に挙げている。同省航空局担当者は「特定利用空港ということを加味して予算配分しているが、必ずしも特定利用だから一律に機械的に予算は増えない」と一蹴。「民間利用の需要が高くないとエプロンの拡張などはない。費用対効果や事業評価も必要になる」と説明。
指定された空港のメリットについては「自衛隊さんと海保さんが平時から使って、関係機関で連絡体制も構築するので、緊急事態などに円滑に利用できる」と挙げた。
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