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政府の住民避難計画に思いさまざま

石垣市や竹富町の職員らが参加して行われた住民の島外避難実地確認。日本政府が3月27日に公表した避難計画を巡り、さまざまな意見が出ている=2024年9月25日夜、新石垣空港(資料)

石垣市や竹富町の職員らが参加して行われた住民の島外避難実地確認。日本政府が3月27日に公表した避難計画を巡り、さまざまな意見が出ている=2024年9月25日夜、新石垣空港(資料)

「内地では暮らせない」
「引っ越し考えている」

 「台湾有事」を念頭に置いた先島諸島から住民など12万人を山口・九州各県に退避させる政府計画の公表から一夜明けて、八重山地域の住民間で不安が一気に高まっている。「計画がないよりはあった方がいい」と安心感を覚える一方、避難先で生活の状況が全く見通せず「内地では暮らせない。島に残る」と心配の声も。また、「戦争が間近に迫っているようで怖い。残念だけどこんな島に居たくないから引っ越しを考えている」と「台湾有事」にあおられて転出を検討する市民も出ている。

 石垣市宮良の20代女性は「避難計画はあった方がいい」と理解しつつも、「旅館とかで1カ月滞在したとして、その後の仕事や暮らしはどうなるのか不安。石垣島にある仕事や畑を手放して本当に避難できるのか。ウクライナみたいに何年も紛争が続き、避難しても石垣に戻れないかも」と嘆息をもらす。祖父は足が悪いため介助が必要だといい「家族や親せきと離れ離れになったら誰が介助するのか。本来は戦争にならない方がいい」と困惑した表情を浮かべた。

 平得に住む40代女性は「先日、テレビで台湾有事のニュースがやっていた。アメリカのシミュレーションで中国が核兵器を使うと言っていたので怖すぎる。石垣島は好きだけど家族もいるので島を出たい」と本音を吐いた。

 与那国町の50代男性は、国などが行った国民保護計画の住民説明会を思い出し、「あの時、三宅島噴火災害で避難した住民が戻ってきて生活支援をしている映像をみせられた。その後に住民避難の話を始めた。私が『有事は災害避難ではなくて武力攻撃を想定した避難でしょ』と何回言っても、国は『特定の事態を想定した避難ではない』と言っていた。論点をぼかして住民をだましながら計画を進めようとしている」と見透かした。続けて「疎開させられる人の生活補償もない。まさに80年前の戦争のように受忍論を持ち出して、基本的人権や民主主義を無視している。到底納得できない」と不満をあらわにした。

 長崎県大村市への避難計画が示された波照間島に住む60代男性は「誰も行かない。皆島に残ると思う」と懐疑的だ。「波照間は他の島と違い石垣島に行くだけでも大変。集団疎開中に攻撃を受け沈没した対馬丸の事例もあり、海の上では何が起こるかわからない。避難の際は民間のフェリー会社や航空会社を使用するというが、戦争に巻き込まれる可能性があるのに本当に来るのか」と輸送体制に懸念を示す。「紙面上で計画は示されたかもしれないが、実際には無理だとみている。陸続きならまだ分かるが波照間島民、特に高齢者は誰も行かないと思う」と淡々と話した。

  • タグ: 八重山避難計画
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