宮良殿内家資料を国重文に
- 2025年03月22日
- 芸能・文化

「八重山嶋江一世流刑手形」。ペリー艦隊の一水兵殺害事件の主犯者を八重山島へ終身刑(一世流刑)に処した際の送り手形=琉球大学附属図書館提供

1872年、八重山島宮間切の頭に任職した宮良親雲上当宗による絵(琉球大学附属図書館提供)

1972年に建造物が重要文化財に、庭園が名勝に指定された宮良殿内家。同家に伝来した資料群も国重要文化財に指定される

琉球家譜(那覇市歴史博物館提供)
琉球国史に学術価値
国の文化審議会(島谷弘幸会長)は21日、宮良殿内家関係資料348点を、歴史資料の部で重要文化財(重文)に指定するよう文部科学大臣に答申した。琉球国の政治史・文化史上、学術価値が高いと判断した。宮良殿内家は建造物が重文(1972年指定)、庭園が名勝(同)となっており、これらに加え同家に伝来した資料の価値も認められることになった。(2面に関連)
同資料は、首里王府統治下の八重山で、在地役人の最高職位の頭役を務めた人物を複数輩出した宮良殿内家に伝来した第二尚氏時代から大正時代までの資料群。国立大学法人琉球大学が所有し、同大付属図書館に宮良殿内文庫として保管されている。頭役は首里王府の離島統治機関である蔵元で、首里から派遣された在番の監督のもと行政組織を統括した責任者だった。
資料の内訳は文書・記録類233点、典籍類101点、絵図類14点で、質量ともにまとまった資料群となっている。文書・記録類は、職務に関するものが大半で、八重山の行政の基礎史料となる規模帳や公事帳、漂流民関係、宮良家当主の公務日記類などがある。
典籍類は19世紀後半の当主が読んでいた手択本、写本では故実や文芸関係、版本では儒学関係の内容が多い。文化審は八重山の歴史や琉球国の離島統治、士族層の教養のありようや生活文化を知る上で貴重だと評価した。
琉球家譜2件も
文化審はほかに県立博物館・美術館所蔵の琉球家譜(25冊)・琉球家譜関係文書(21通)・系図箱(2合)と那覇市歴史博物館所蔵の琉球家譜(45冊)・琉球家譜(130通)・系図箱(5合)の2件も重文(古文書の部)に指定するよう答申した。2件はいずれも第二尚氏時代。
計3件が国指定有形文化財に指定された場合、県内の指定件数は国宝2件、重文43件で計45件となる。国内だと重文は1万953件になる。
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