石垣島で「うむざ」、西表島で「かまい」と…
- 2025年03月04日
- 不連続線
石垣島で「うむざ」、西表島で「かまい」と呼ぶ猪。その猪が県営バンナ公園でわずか2カ月のうちに26頭も捕獲され、市民を驚かせている。市街地に最も近く、多くの人たちがジョギングや散策を楽しむバンナ公園である▼今回の駆除は近隣で農作物被害が多いことから、石垣市が県猟友会石垣地区に依頼したもの。しかも猟銃ではなく、くくり罠(わな)方式のみというから、怖るべしくくり罠▼若い頃、前勢岳の山裾に分け入ったことがある。息を切らしながら進むやぶの中に突然現れたのは荒々しい石積み。初めて「猪垣」の実物を見た。先人が農作物を守るため汗水流して必死に積み上げたであろう苦闘の、人と獣のすみ分けの痕跡▼それにしてもバンナのうむざ、生息密度が高い。公園整備のため30年間、狩猟を自粛していたというから、さもありなん。猪たちの「自由の天地」だったわけだ▼前勢岳北の大規模ゴルフリゾート計画は開発許可が近いといわれる。平得大俣の陸自駐屯地も訓練場の大規模拡張を計画している。猪たちの自由の天地は、ますます狭められてゆく。周辺では人間との遭遇が増えるかも知れない▼「猪突(ちょとつ)猛進」や獣害は防ぐべきながら、遠因は開発側にもある。適正な生息密度とはどれほどか。すみ分ける「令和の猪垣」はないものか。(慶田盛伸)
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