クルーズ船寄港 激増 石垣港2024年実績
2024年の石垣港へのクルーズ船寄港は前年の35回の3・4倍となる120回に上り、船客も23年の8万2032人から3・6倍の29万5263人と大幅に伸びた。コロナ明けでクルーズ船観光が本格化した。接岸地の南ぬ浜町は、クルーズ岸壁の整備で22万㌧級の大型クルーズ船の接岸が可能となり、多い日には一度に4千~5千人規模の乗客が入域する。オーバーツーリズムや移動手段確保への対応など課題も浮き彫りとなる1年だった。
中国から増加
クルーズ船寄港の過去最高は2019年の148回。同年は国内外から合計36万人余りが入域した。24年は台湾・基隆からの寄港が多く、横浜やタイ、オーストラリアからの入港もあった。その中でも特徴的だったのが、中国からの寄港。天津、厦門、上海、蛇口などを出港する船舶が増えた。
石垣市観光文化課によると、コロナ前は旅客定員2千~3千人のクルーズ船寄港が多かった。21年に新港地区(南ぬ浜町)クルーズ岸壁の使用が開始され、乗客5千人規模の大型クルーズ船が接岸できるようになり、大量の船客が石垣島を訪れるように。
市港湾課は、2025年度にCIQターミナルが完成を予定しているため、「クルーズ船の利便性が高まる」とみており、寄港回数が増す可能性がある。13日時点で207回の岸壁利用が予定されている。
隣の宮古島市平良港は24年の寄港実績が53回、25年には144回が計画されており、“石垣需要”が伸びていることがうかがえる。
「弊害もある」
コロナ禍からの観光需要復興で大型化するクルーズ船の寄港により観光客が増える一方、地元からは「クルーズ船の弊害も出ている」との懸念も。交通機関では2次交通の観光バスやタクシーが不足している。
市観光文化課によると、観光地はユーグレナモール周辺、川平湾、県営バンナ公園、免税店などに集中。同課担当者は「中国資本が企画するツアーで囲い込みの話もある」と指摘する。中国で募った乗船客を観光バスでクルーズ岸壁―川平・バンナ公園―免税店―クルーズ岸壁で回しているという。
ただ、川平でグラスボートに乗る人は多くはなく、川平公園周辺で滞在し、観光消費は限定的だ。昨年は、クルーズ客が川平集落内の民家へ勝手に立ち入る事案も発生したという。観光バス会社も島外から新規に3社ほど参入しており、3カ所を回るツアーを組んでいる。
「川平湾はひっきりなしに大勢のクルーズ船客がいるが、特に何かをするわけでもなく問題になっている」(同担当者)。タクシーなどで川平地区を訪れたクルーズ客が船に戻れず、川平の事業者や市職員らが自家用車で送り届けるケースも。時間的にタクシーの貸し切り利用ができず、帰りの移動手段が確保できなかったからだ。市は観光交流協会や関係事業者と協議を持ち、こうした課題への解決策を練っている。
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