八重山諸島のニュース・石垣島・竹富島・西表島・新城島・小浜島・鳩間島・黒島・波照間島・与那国島

エントリー

クルーズ船寄港 激増 石垣港2024年実績

大型クルーズ船で来島した観光客。昨年、石垣港には120回のクルーズ船寄港があった=2024年11月8日(資料写真)

大型クルーズ船で来島した観光客。昨年、石垣港には120回のクルーズ船寄港があった=2024年11月8日(資料写真)

120回、前年の3.4倍 オーバーツーリズム、移動など課題

 2024年の石垣港へのクルーズ船寄港は前年の35回の3・4倍となる120回に上り、船客も23年の8万2032人から3・6倍の29万5263人と大幅に伸びた。コロナ明けでクルーズ船観光が本格化した。接岸地の南ぬ浜町は、クルーズ岸壁の整備で22万㌧級の大型クルーズ船の接岸が可能となり、多い日には一度に4千~5千人規模の乗客が入域する。オーバーツーリズムや移動手段確保への対応など課題も浮き彫りとなる1年だった。

中国から増加

 クルーズ船寄港の過去最高は2019年の148回。同年は国内外から合計36万人余りが入域した。24年は台湾・基隆からの寄港が多く、横浜やタイ、オーストラリアからの入港もあった。その中でも特徴的だったのが、中国からの寄港。天津、厦門、上海、蛇口などを出港する船舶が増えた。

 石垣市観光文化課によると、コロナ前は旅客定員2千~3千人のクルーズ船寄港が多かった。21年に新港地区(南ぬ浜町)クルーズ岸壁の使用が開始され、乗客5千人規模の大型クルーズ船が接岸できるようになり、大量の船客が石垣島を訪れるように。

 市港湾課は、2025年度にCIQターミナルが完成を予定しているため、「クルーズ船の利便性が高まる」とみており、寄港回数が増す可能性がある。13日時点で207回の岸壁利用が予定されている。

 隣の宮古島市平良港は24年の寄港実績が53回、25年には144回が計画されており、“石垣需要”が伸びていることがうかがえる。

「弊害もある」

 コロナ禍からの観光需要復興で大型化するクルーズ船の寄港により観光客が増える一方、地元からは「クルーズ船の弊害も出ている」との懸念も。交通機関では2次交通の観光バスやタクシーが不足している。

 市観光文化課によると、観光地はユーグレナモール周辺、川平湾、県営バンナ公園、免税店などに集中。同課担当者は「中国資本が企画するツアーで囲い込みの話もある」と指摘する。中国で募った乗船客を観光バスでクルーズ岸壁―川平・バンナ公園―免税店―クルーズ岸壁で回しているという。

 ただ、川平でグラスボートに乗る人は多くはなく、川平公園周辺で滞在し、観光消費は限定的だ。昨年は、クルーズ客が川平集落内の民家へ勝手に立ち入る事案も発生したという。観光バス会社も島外から新規に3社ほど参入しており、3カ所を回るツアーを組んでいる。

 「川平湾はひっきりなしに大勢のクルーズ船客がいるが、特に何かをするわけでもなく問題になっている」(同担当者)。タクシーなどで川平地区を訪れたクルーズ客が船に戻れず、川平の事業者や市職員らが自家用車で送り届けるケースも。時間的にタクシーの貸し切り利用ができず、帰りの移動手段が確保できなかったからだ。市は観光交流協会や関係事業者と協議を持ち、こうした課題への解決策を練っている。

  • タグ: クルーズ船激増
  • ※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社八重山毎日新聞は一切の責任を負いません。

    ページ移動

    キーワード検索フォーム