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西表でヒメバチ科の一種、八重山初確認

自然観察を楽しむ和智さん親子=2024年1月13日(和智さん提供)

自然観察を楽しむ和智さん親子=2024年1月13日(和智さん提供)

ホウネンタワラチビアメバチの繭がみつかったイネ科植物と繭(琉球大学提供)

西表島でみつかったホウネンタワラチビアメバチ(琉球大学提供)

「これ、なに?」 3歳みつけた! 昨秋、父娘で虫取り中

 西表島で3歳児が公園でみつけた不思議な繭から、ヒメバチ科の寄生バチ・ホウネンタワラチビアメバチが八重山で初めて確認された。琉球大学熱帯生物圏研究センター西表研究施設の和智仲是助教授と北海道大学総合博物館の小西和彦資料部研究員が3歳児の「これ、なに?」という素朴な疑問をきっかけに発見した。琉球大が9日、発表した。

 昨年9月7日、当時3歳だった和智さんの長女・かの子ちゃん(4)が和智さんとともに西表島西部のうなり崎公園で虫取りをして遊んでいたとき、散策路脇の草むらの葉にぶらさがっていた不思議な模様をしたものを二つみつけた。

 長さ5㍉程度のウリ型の繭で、和智さんがヒメバチ科のものと気づき、研究室に持ち帰ってふ化させ、ヒメバチ分類の専門家である小西研究員に同定を依頼したところ、沖縄県では多良間島でしか確認されていないホウネンタワラチビアメバチと判明した。研究成果は昨年12月30日付発行の日本昆虫分類学会学術誌に掲載された。同バチは、稲の害虫であるフタオビコヤガのガの幼虫に寄生する種で、県内では多良間島でしか確認されておらず、今回の発見で新たな分布域が確認された。フタオビコヤガは西表では確認されておらず、同バチがどの種のガの幼虫を利用しているのかは分かっていない。

 琉球大学は「この偶然の発見がなければ、今回の研究は成立しなかったと言える。『これ、なに?』と思う好奇心が研究や発見の出発点であることを3歳の子どもから改めて教えられた」と評価している。

 和智助教授は「今回の研究は小さな子どもによる身近な自然観察でも、科学研究に十分寄与できることを示し、生物多様性研究において年齢に関係なく幅広い参加が可能であることを示す好例」と指摘、「今後も島に住む研究者として、このような地域での発見を研究論文として形にすることに少しでも貢献したい。機会があれば地域住民の方が同様の発見をした際、その成果発表を支援し、研究者として地域に貢献できるよう努めたい」としている。

  • タグ: 西表島ホウネンタワラチビアメバチ
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