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終戦直後の樺太で旧ソ連人とともに暮らし…

 終戦直後の樺太で旧ソ連人とともに暮らし、北海道へ引き揚げた後、アイヌの伝統的な住居、チセを借りて暮らしたという人の聞き書きを読んだ。この人はどんな感覚で人生を送ってきたのか、と思わずにいられなかった。締めの部分では、聞き取りをした学生の思いにもらい泣きしてしまった▼京都・大阪の大学生が民俗学の課題で祖父母などからの聞き取りをまとめ、その選りすぐり12編が「書いてみた生活史」(実生社)として出版された。「樺太」のリポートは収録作の1編である▼編著者の菊地暁氏は大学教員として課題を出したその人。リポートはどれも「既存の記録に残されることのなかった『もうひとつの歴史』」だという▼高知県宿毛で育った女性は、近くに海軍基地があり、米軍の攻撃があるたびに防空壕(ごう)に入った。自然豊かな山村だったが、白米入りの弁当を持っていくと、先生に没収された▼「よく理解できないまま始まって、よく理解できないまま終わったって感じ」。当時10歳に満たなかった奥能登の女の子が、おばあちゃんとして孫に語った戦争への思いだ。米軍統治期の沖縄で生まれた男性は、父親がハワイへの出稼ぎ経験者。小学校在学中には友人が南米に移民していった▼来年は戦後80年。耳を傾けることを大切にする一年だ。(松田良孝)

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