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昨年夏、屋良部村御嶽の取材をしていて…

 昨年夏、屋良部村御嶽の取材をしていて、崎枝の石垣千彩さんを訪ねた。同御嶽に時折線香が供えられていることを質問すると、崎枝公民館の神事とはかかわりがないとのことだった▼なぞ解きは果たせなかったが、新たな楽しみに出合う取材でもあった。崎枝では今年の入植75周年に向けて地域誌を準備中だったのである▼石垣さんは本土からの移住者だ。75周年記念誌「崎枝回顧録」にこんな一文を寄せている▼「崎枝の歴史はおろか八重山の歴史や文化についてもほとんどわからず」に、村の祭事にかかわっていたというのだ。移住者には多かれ少なかれ共通の経験があるだろう▼石垣さんはこの戸惑いを起点に、読み、聞き、訪ね、地域誌を編むに至った。「崎枝の歩みを知る人が少なくなってきた現在、移住者である私も含め、みんなで崎枝の歴史を知り、守っていければ」という思いだ▼「崎枝回顧録」には、八重山高校1年の國仲彩禾さんが崎枝中3年のときに発表した「誇りに思えるように」も掲載されている。漂着ごみの回収活動に触れ、「地域のために自分にできることをやり続けたいです」とつづり、「私がこの場所を誇りに思えるように…」と結んでいる。力みのない等身大の取り組み。足元にこだわり、ひとつの形に仕上げる営みは尊い。(松田良孝)

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