八重山毎日新聞社

　豪政府が16歳未満の子どものインスタグラムやＴｉｋＴｏｋ、Ｘ（旧ツイッター）、フェイスブックなど交流サイト（ＳＮＳ）の利用制限に乗り出す。国家レベルでの利用禁止は世界初という▼子どもたちが暴力や自殺、薬物利用を誘発しかねない有害コンテンツにさらされたり、集団いじめや性被害の温床になりかねないことなどを懸念した。豪政府は「世界に先駆けた最も厳しい内容」としており、欧米をはじめ世界各国の議論にも影響を与えそうだ▼日本でも検討が始まったばかりと報じられるが、利用者はいったいどれくらいいるのだろう。今や老若男女、ＳＮＳやスマホなしでは夜も日も明けぬ人たちが圧倒的に多いのかも知れない。あたりを見渡せば、いろんなところで寸暇を惜しんでスマホの画面をのぞき込む人たちのなんと多いことか▼石垣市いじめ問題対策連絡協議会に市内各小中学校でＳＮＳでのトラブルが相次ぎ、誹謗（ひぼう）中傷や仲間外れがあることが報告された▼プラスの側面も多いはずながら、大人たちはもっと子どもたちのスマホに関心を寄せた方がいいのかもしれない。楽しさ、利便、快適性の裏側にひそむ、かすかな変化を見逃すことのないように▼ＳＮＳに限らずデジタル社会は私たちに何をもたらすか。漠たる不安のなか、じっと目をこらす。（慶田盛伸）