「80年ほど前に台湾へやってきた沖縄の人…
- 2024年11月25日
- 不連続線
「80年ほど前に台湾へやってきた沖縄の人たちのことを覚えている人がいる」。フェイスブックでそんな情報が寄せられた▼コメントの主は地域史の研究に取り組む人。やり取りを重ね、取材への協力を依頼すると、農村に建つ廟に連れていかれた。バイクに二人乗りして向かうと、青々とした畑がどこまでも続いていた▼廟といえば、たいていは管理事務所があり、人の出入りがある。テレビを付けっぱなしにしておしゃべりに興じる風景や、きちんと腰掛けて話し合いをする風景などが、不定期に入れ替わる▼その空間でインタビューとなった。廟の常連が同席し、古い記憶を探り出す手伝いをしてくれる▼八重山に住む台湾出身者が70年前に台湾の親類宛てに書いた手紙が見つかった(8日付本紙3面)のも、その集落の中心部に建つ廟の存在が大きい。廟の事務室を出入りする人たちが目当ての人を探し当ててくれたのだ。台湾のいなかに根づく密な人のつながりが、沖縄に関するエピソードへのアクセスポイントを提供してくれた▼廟の在りかはインターネット上の地図アプリに表示される。字に当たる地域の中に、いくつもの廟があるため、立地密度は公民館をしのぐかもしれない。門をたたいてみることで、土地に根付いた物語に触れることができる。(松田良孝)
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