五穀豊穣願い奉納芸能 竹富島種子取祭にぎわう
- 2024年11月23日
- 芸能・文化
【竹富】国の重要無形民俗文化財に指定されている島最大の行事「種子取祭(タナドゥイ)」の奉納芸能が22日、世持御嶽(ユームチオン)で始まった。初日は広場で「庭の芸能」が披露された後、特設舞台で玻座真村が島独特の狂言や舞踊などを奉納した。地域住民や県内外の郷友会、見物客らがかけつけ、大いににぎわった。23日は仲筋村が舞台芸能を行う。(3面に写真特集)
種子取祭は種をまいて一年の五穀豊穣を願う行事で600年の歴史があるとされている。ことしは20日に種入れの祈願をし、22日にバリビルの儀式、23日にムイムイの儀式を行い、五穀豊穣を祈願する。
奉納初日の22日は早朝に公民館役員らが弥勒奉安殿に集まり、弥勒興しの祈願を行った。午前10時過ぎに神司を先頭に御嶽に戻り、庭の芸能がスタート。青年らが勇壮な棒術で場を清め、竹富小中学校の児童生徒や職員らが太鼓を披露した。
各会の女性らは「マミドー」(仲筋)、「ジッチュ」(玻座真西)、「真栄(マサカイ)」(同東)、「祝い種子取」(石垣竹富郷友会婦人部)と晴れやかな踊りを次々と奉納。腕と腕を絡ませて力比べをする「腕棒」(仲筋)で会場を盛り上げた。最後は男性らが馬型をつけて飛び跳ねる「馬乗者(んまぬしゃ)」が行われた。
正午からは特設舞台に移って玻座真村(東集落・西集落)の舞台芸能が行われた。島の子どもたちを引き連れた弥勒(ミリク)の登場で幕開け。農具を製作する「鍛冶工(かざく)狂言」、畑に種をまく「世持(ユムチ)狂言」、収穫を喜ぶ「世曳(ゆーひき)狂言」などで島の様子を生き生きと表現した。
舞踊は赤馬節や竹富口説、しきた盆、種子取節など次々に奉納。組踊「伏山敵討」では迫力ある戦いが繰り広げられ、会場は大いに沸いた。初日は庭と舞台合わせ計28演目が奉納された。
竹富公民館の新田長男館長は「おとといは種入れの祈願をし、昨日はウルイ(世果報雨)が降り、きょうの種子取祭が迎えられた。現在農業で生計を立てている人は島にはいないが、どこかで作ってくれる人がいるから私たちは毎日食べることができている。そこの実りも願い、さらに島の皆さんの健康を祈願したい」と竹富方言であいさつした。
奉納芸能終了後は夜を徹して各家庭をめぐるユークイが行われた。
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