国内希少種「イシガキニイニイ」 8年連続確認されず
環境省石垣自然保護官事務所は21日、国内希少野生動植物種の「イシガキニイニイ」の生息が8年連続で確認されなかったと発表した。調査は石垣島米原のヤエヤマヤシ群落とその周辺、桴海、小浜島で行われ、約3126時間分の録音データを解析したが、イシガキニイニイの鳴き声は見つからなかった。現地調査に40年余り関わってきた島村賢正氏は「ヤシ林を中心に調査してきたが、ほかの場所で生息している可能性もあるので、範囲を広げる必要がある」と指摘した。
イシガキニイニイは、体長19~24㍉の小型のセミで1971年に石垣島で発見。その後、論文発表されて1974年に新種記載されたが、90年代から原因が分からないまま激減。2002年9月には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)の国内希少野生動植物に選定されたほか、レッドデータおきなわの「絶滅の危険性が極めて高い」絶滅危惧ⅠA類、石垣市の自然環境保全条例保全種、市の天然記念物などに指定されている。
6月から7月にかけて出現することから、今年度は、6月7日から7月5日までの期間、九州大学や琉球大学、地元の研究者などが調査を実施。自動録音機8台で約3126時間の音声データを調べた。桴海と小浜島では調査員が現地で録音した。
音声を調べたところニイニイゼミ属のセミの鳴き声が確認できたが、音声を周波数解析にかけた結果、イシガキニイニイの鳴き声は含まれていなかった。
環境省は03年から鳴き声によるモニタリング調査を開始したが、年々数が減少。16年の4匹を最後に生息が確認されていない。
イシガキニイニイの生態はほとんど分かっておらず、8年連続で見つからなかったことで危機感が広がっているが、ほかの場所で生息している可能性も指摘されている。同省では、今後も音声分析などを使ったモニタリングを続けていくとしている。
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