6年ぶり、カヤふき替え 西表祖納
- 2024年11月08日
- 地域・教育
【西表】祖納公民館(前津芳生館長)は、10月6日から約2週間をかけ、県指定有形文化財「新盛家」のカヤのふき替えを6年ぶりに行った。
㈱屋建設(屋正美代表)を事業主として、経験豊かな地元の那良伊孫一さんを棟梁に、青年を中心とした公民館員が行った。
前回のふき替えでは屋根の厚みが足りなかったことを教訓に、今回は3000束のカヤを鳩間島から取り寄せた。今年のカヤは長くて上質だが、長いため挿した時に角度がずれると修正が大変で、抜く時にも苦労があった。
12~14日は住民総出でムラングトゥ作業が行われたが、経験者が高齢となり、後継者を指導・育成しながらの作業のため時間がかかり、その日では終わらなかった。次回(6~8年後)のふき替えでは棟梁となる星光さんをはじめとする青年らは、仕事の合間や後に駆け付けて、連日作業を続け、しっかりとした厚みのあるカヤの屋根が完成した。
2週間近くカヤまみれになりながら作業してきた青年らは、最後に屋根のてっぺん部分がふさがって作業が完了すると、感無量の様子でしばらくそこから動かなかった。
前津館長は自身が暮らしていた新盛家に思い入れも深く、「今回、20歳ぐらいの青年から参加して後継者育成ができたことが一番うれしい」と喜んだ。那良伊さんは「自分は子どもの頃から田小屋を建てたり、集落がゆいまーるでカヤのふき替えを行ったりするのを見て手伝い、経験してきた。今は新盛家しかない。次は後進が棟梁を務めるが、それまでにまた教えられることを教えたい」と話し、青年らも「今回の作業で理解できたことがあった」「ふき替えの間隔が開きすぎると継承が難しくなるので、数年ごとに学級などで学ぶ機会をつくった方がいい」と将来に向けて意欲的だった。
〈新盛家住宅〉 1994年3月31日に沖縄県指定有形文化財(建造物)に選定。沖縄県内に現存する最古の木造住宅で築年数は150年以上と言われている。くぎを一本も使わない「貫屋」と呼ばれる独特の工法で、材料にプシキ(マングローブ植物)やダイム竹などさまざまな島の材料を豊富に使った貴重な建造物。
(曽根田容子西部通信員)
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