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「さゆりはツンデレなんですよ」。これは…

 「さゆりはツンデレなんですよ」。これは女性ではなく牛の話。八重山農林高校のメス牛「さゆり」が県の畜産共進会に出場した。成績は振るわなかったが、経験を積んだ生徒の表情はさわやかだった▼この、ほほえましい話題とは裏腹に、実際の牛肉事情は厳しい。物価高による飼料価格高騰や、人手不足もあって廃業した畜農家もすでにいる▼八重山家畜市場の10月セリ(速報値)をみると、前回比で計2万5千円の下落。メスと去勢がいずれも前回割れしたのは、県内で八重山しかない▼購買者も不安を抱えている。牛肉需要が減って枝肉の在庫があるため、牛をと殺できずに飼い続けている。結果的に農場のスペースがなくなり、新たに牛を導入できず悪循環に陥った。年末に向けて枝肉需要が高まるとの予想もあるが、どこまで上昇するか分からない▼衆院選の期間中、JAの幹部から「政策にお肉クーポンを配ると書けばいいのに」との皮肉も出るほど、状況に大きな変化はない。畜産農家からは「セリ価格は上がらないのに、共進会で上位を狙う意味があるのか」と諦めムードも漂う▼「さゆり」を出品した高校生は「今の農家さんより、畜産業を熱く引っ張りたい」と決意。これから第一次産業をけん引する若者を前途多難にしてはならない。(玉津盛昭)

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