八重山毎日新聞社

　先日、仕事で出張先の東京から福岡まで新幹線で移動した。実に1175㌔、5時間の長旅だ。航空機での移動が、少々割高だが時間も短く、楽だが東京での仕事の都合で新幹線の選択となった▼新幹線は、大学卒業後、名古屋で別の仕事に就いていた20代の頃に、名古屋―東京の往復で毎週利用していたが、石垣に戻ってから新幹線に乗るのは10年以上前に東京から盛岡まで東北新幹線に乗車して以来か。大阪以西の乗車は初めてだ▼それだけに単なる移動手段ではなく、ワゴンサービスで飲み物や弁当などの食べ物を買い、車窓から急速に流れて行く周囲の景色を眺めるのが楽しみの一つだったが、その思いは完全に裏切られた▼今回の乗車は、東京駅発は午後6時51分。博多行きの最終だ。ＪＲ博多駅到着は5時間後の午後11時51分。道中、周囲は真っ暗で、進路上に広がっているであろう山や川、田畑、集落の景色はまったく見えず、見えたのは駅周辺通過時の夜景のみ。しかも、ワゴンサービスもなし▼出張とはいえ、新幹線の旅の楽しみが何一つない長旅。揚げ句にスマホの充電も乏しく、ひたすら我慢の乗車▼博多駅到着時刻は1分の狂いもなし。運行時間の正確さはさすが日本が誇る新幹線だ。次回は準備万端、昼間に乗りたいものだ。（下野宏一）