「南風」「麦秋」「日和路」「野路」「水無瀬」…
- 2024年10月19日
- 不連続線
「南風」「麦秋」「日和路」「野路」「水無瀬」。これらの言葉から何をイメージしますか?▼例えば「南風」は涼やかな風が吹き寄せる南国、「麦秋」は麦が収穫期を迎える実りの季節、「日和路」は木陰のある心地よい路、「野路」は畑の中の路、などと連想できるのではないだろうか▼いずれも、国指定重要無形文化財「八重山上布」の保持者(人間国宝)、新垣幸子氏の作品名である。石垣市民会館中ホールで開催中の「沖縄の染と織の至宝―桃原用昇コレクション八重山展―」で展示されている▼詳しい人によると、作品名も芸術の一つ。そこに作者の思いが込められているという。残念ながら同展では作品名の説明はないが、そこは見る人が想像を膨らませるしかない▼新垣氏には「古典柄」という作品もある。岡本太郎氏(1911年~96 年)が沖縄の本土復帰前に書いた『沖縄文化論―忘れられた日本』で八重山上布に言及した一節「今日もなおすべて美しいものは、過ぎた時代の思い出である」に発奮して調査研究を重ね、長年絶えていた染織技法を復活させた一つであろう▼八重山展には、そんな伝統技法に島の営みや四季折々を自らの感性で鮮やかに表現した作品がずらり。次に見られるのは「新石垣市立八重山博物館」が完成したとき。同展は20日まで。(比嘉盛友)
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