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名蔵ダムのほうへ向かう道の周りは台湾の…

 名蔵ダムのほうへ向かう道の周りは台湾の人たちが開拓したエリアだ。今なら車でサッと走れるこのルートも、かつては道ともいえないような道だった▼そのころの農業の姿をとどめる場所がある。土中の石を巧みに積み、階段として利用するなどしていたのだ(9月29日付本紙9面)▼琉球華僑総会八重山分会の多宇良三会長の案内で現地を訪れてみて、貴重な文化資源だと思わずにいられなかった。石積みで斜面を押さえ、段々畑のように整えた様子は、土を無駄にはしまいという意思の痕跡だ。八重山のポテンシャルを丁寧に扱おうとするマナーが見て取れる▼かつてのパインブームについて取材していると、収穫した実を運び出す作業が大変だったという話を耳にすることがある。集落から離れた奥のほうに畑を開いた移民たちにはなおのこと、運搬は骨の折れる作業だった▼嵩田の石積みは、こうした体験や思い出をも雄弁に言い表す。それがその場にある意味は大きい。市は議会答弁で「本市の近現代史において重要」と意義を説明している▼多宇会長のもとには、何人かの知り合いから「案内してほしい」という相談が寄せられているという。だれもが簡単に足を運べるような場所ではない。ひそかなムーブメントとして、関心が静かに広がりそうだ。(松田良孝)

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