西表島の節祭、厳かに
- 2024年10月05日
- 芸能・文化
地域住民総出で芸能と神事
【西表】500年以上の歴史を誇り、国の重要無形民俗文化財に指定されている「西表島の節祭(シチ)」の世乞い(ユークイ)が3日、西表島祖納と干立の両集落で厳かに執り行われた。台風接近による悪天候の影響で開催場所変更、一部縮小を余儀なくされたが、地域住民総出で多彩な芸能と神事を奉納。「農民の正月」とされる節祭で一年の五穀豊穣を神に感謝し、来年の世果報と無病息災を祈願した。
両公民館では午前5時から一番ドラが打ち鳴らされ、世乞いの幕開けを告げた。
祖納は正午ごろ、節祭の総責任者や公民館役員らが前泊御嶽へ参拝。前泊海岸での祈願と狂言「キッポー」を奉納した後、公民館へ移動した。人間から神に変わるスリズの儀式が執り行われた後、子孫らを引き連れたミリク行列やアンガー行列が入場。狂言や棒術、伝統舞踊など多彩な芸能が次々と奉納された。
祖納公民館の前津芳生館長は「お客さんはいなかったが、住民同士によるより深い節祭になった。祭りの意義や重要性を再認識でき、来年に向けてまた頑張ろうという気持ちになった」と語り、「全国各地で災害が相次ぎ心配だが、今後もこうした伝統文化で安全を祈願をしていけたら」と思いを新たにした。
干立は午後4時ごろから干立御嶽前の浜で神事を開始。櫂を漕ぐ動きで海の幸や平穏を願うヤフヌティ、ニライカナイから世果報を呼び込むパーリャ(舟漕ぎ競漕)を行った。
御嶽での芸能では「天上天拝」、「早使い・川平早使い」、「牛追い狂言」などの狂言、女性らによるアンガー踊りなどが次々に奉納された。ミリク行列が境内に入場すると奇声とともにオホホが乱入。滑稽や動きで女性を手招きし、会場の笑いを誘った。
神事を終えた干立公民館の伊谷玄館長は「天候の状況に応じて判断し、無事にミリク世果報を漕ぎ寄せることができて良かった」と安堵した。
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