「武力攻撃予測事態」想定 住民避難の手順確認
国民保護法に基づく「武力攻撃予測事態」の発出を想定した住民避難の手順の確認(内閣官房・消防庁、沖縄県、石垣市、竹富町共催)が26日夜、新石垣空港で行われた。住民避難役の市や町などの職員らが空港に到着した時点から保安検査(臨時レーン)を通過して搭乗ゲートで手続きを完了するまでの動線・所要時間などを検証。動線の見直しや構内で誘導する人員の数が足りないなど課題も浮き彫りになった。
実地確認は、沖縄県国民保護訓練に関する検討会の一環で、先島諸島の空港で避難誘導の要領や保安検査体制、関係機関との連携を検証し、避難の実行性を高めるため行った。実際には「他国からの武力攻撃」や「テロ」発生時を想定しているとみられる。
手順確認は同日午後9時過ぎに、避難者役の石垣市や竹富町の職員ら165人がバスから下車してスタート。臨時レーンで手荷物検査や金属探知の検査を受け、特別に設けた動線を通って搭乗ゲートでQRコードを機器にかざすところまで行った。空港での手順確認には、誘導者や保安検査員など約100人と避難役を合わせて、約270人が参加した。
報道陣の取材で中山義隆石垣市長は「当初予定していた完了時間よりも速く全員の搭乗手続きが終わった。要配慮者の皆さんもスムーズに誘導できた。動線の中で停滞するところがあり、人員が足りていない場所もあった。手続き方法をさらに簡素化する必要もあると感じた」と述べた。
前泊正人竹富町長は「待機時間に次への行動をどうすべきかアナウンスが必要だと思った。一部でQRコードの認証が遅いところもあった。今後は、竹富町での島内輸送、島間の海上輸送の実地確認が必要になってくる」と指摘した。
検討会メンバーは26日、石垣海上保安部の巡視船「いぜな」の船内で要配慮者などが乗船可能か確認した。その後、石垣市役所で実地確認の検証をした。参加した関係者によると、巡視船内は狭く、寝たきりや車いすの人は移動が困難なため「利用は厳しい」との声があった。
沖縄・九州・山口は、2026年度に国の重点訓練を予定している。実動や図上訓練を行うため、実地確認を繰り返しながら避難実施要領に磨きをかけていく。
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