八重山毎日新聞社

　このところ連日のように大型クルーズ船の寄港が相次いでいる。我が家は高台に位置しているため、居ながらにして船影が見える。ビルの合間にそそり立つ大型ホテルのようだ▼接岸を待ちかねた人々は一斉に島内観光に繰り出す。言葉からして中華圏、ことに台湾からの乗客が多いと伺われる。今年は接岸の回数からしてコロナ前を含めても過去最高の記録に近づくのではないか▼一番の課題はバスやタクシー、移動手段が圧倒的に足りないこと。島内周遊の観光バスに申し込めた人々は幸い。残りの人たちは徒歩で市街地へ向かい、あらかじめネットで調べたスポットへ。路線バスを活用するつわものもある▼ゆえに出航時間が近づく夕刻ともなれば、南大浜の大型量販店近くや産業道路などのバス停にバス待ちの人々がいる▼心苦しく思うのは徒歩の人々。サザンゲートブリッジを渡り、日傘をさして小さな子の手を引いてゆく。そんなに暑い、熱い思いをした人々の記憶に残る石垣島は「灼熱の島」。再び訪れようという気になるだろうか。一方で周遊バスの人々はスーパーに繰り出して船内で飲食する商品のお買いものタイム。ひところのように大声で話す人もおらず静か▼平和交流の賑わいと、彼らに一路平安あらんことを。この活況を見ればそう思う。（慶田盛伸）