黒島子牛「明るい兆し」
- 2024年09月15日
- 社会・経済
黒島家畜市場で13日開催された9月の子牛セリで、平均価格が38万3243円と今年に入って初めて前年同月(38万1486円)をわずかに上回り、前回7月からは3万3000円余り上昇した。黒島肉用牛生産組合(下地太組合長)は「県種雄牛の血統で高値が付いたのが明るい兆し」として引き続き飼養技術の向上に努めていく。
9月セリに向けては、前組合長の那根真氏が中心となって大口購買者への営業活動を強化。その成果も出たとみられる。同組合は県内で唯一、飼養技術向上を目的にセリ前の品評会を欠かさず開催。近年は八重山郡共進会で毎回、多くの牛が上位を占めるなど着実に成果を出している。
今年最初の1月セリは前年同月比で10万550円安。その年を占う初セリの低調な取引状況に、関係者からは不安の声が上がっていた。黒島は2カ月に1回、奇数月にセリが開催されるが、前年同月比で3月は2万9657円安、5月は13万198円安、7月は5万5506円安と下落が止まらない状態に陥っていた。
背景には、コロナ禍や物価高による国内の牛肉消費の冷え込みのほか、巨大市場となる中国への輸出の停止などがあると見られる。さらに北海道で拡大する乳牛を借り腹とした子牛生産も影響。和牛受精卵の移植で産まれてきた子牛の上場が増えつつあり、関係者は「離島の離島で牛を調達する需要が落ちている」と指摘する。
9月セリでは前年同月を上回ったもののコロナ前の2019年9月の平均価格69万5357円と比較すると30万円以上安くなっている。
同組合は8月に役員の総入れ替えで組織体制を刷新。下地組合長は「飼料や肥料の高騰など依然として苦しい状況には変わりはないが、明るい兆しとなったのは県種雄牛の美百合の血統で高値が付いたこと。今後は勉強会の開催などで組合員の飼養技術向上に努め、購買者に納得してもらえる子牛を作っていきたい」と意気込みを語った。
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