月桃の里、11月末閉鎖へ
【与那国】島内唯一の特別養護老人ホーム月桃の里(上地国生理事長)が、11月末を目途に閉鎖される方向で進んでいることが12日、分かった。介護職員の人材不足や与那国町出身者の入所需要減などが主な要因。八重山毎日新聞の取材に上地理事長は「25年間、町の老人福祉に貢献してきたので悲壮感はない。今の状況下では、誰がやっても(経営は)難しいと思う」と述べた。
上地理事長らによると、特養の運営に必要な介護職員は10人だが、病気退職などが相次ぎ現在、職員は4人のみ。事務を担う介護課長も現場に出るギリギリの状態で入所者にサービスを提供、求人を継続するも補充の見込みはないという。
介護保険法では、法定人数を割った場合は介護報酬の3割以上を返納しなければならず、これまでは剰余金を削って黒字を維持してきたが、これ以上は難しいと判断した。
月桃の里は、2000年に▽入所介護▽ショートステイ▽デイサービス―の3本柱で事業をスタートさせたが、町の指定管理を受けて町社協が始めたミニデイサービスと競合し、採算性が合わなくなったためデイサービス事業からは撤退。デイサービスによって維持されてきた高齢者との接点が無くなったことでショートステイの利用につなげられなくなり、その後、ショートステイからも退き、入所介護(30床)のみを展開していた。
現在の入所者数は22人だが、与那国町出身者は3人のみ。町出身者の利用がほとんどないことから、「無理して続ける必要がないのでは」との結論に至った。
上地理事長は「(町から特養開設を)誘致された側だが、誘致した企業を守り育てる感覚がなく、企業が定着できる環境が整っていない」と福祉行政の課題を指摘。
入所者の今後の対応については、「与那国町出身の3人について検討し、残りの石垣市出身者は市の協力を要請して市内の老人ホームに入れてもらう方向で調整していく」とした。
開会中の町議会では、嵩西茂則氏が「数十年にわたって町に貢献してきた月桃の里がこういう状況なのは、大損失だと思う」とただし、譜久嶺弘幸副町長は「特養は国の助成金もあり、高齢化の社会情勢を鑑みると、みすみす閉鎖に追い込むのはもったいない。職員の確保や事業移行などを慎重に模索したい」とした。
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