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連載【揺れる地域・第2部】〜陸自石垣駐屯地開設1年〜《22》

石垣市議の内原英聡氏が県への情報公開請求で入手した、石垣駐屯地の開発許可手続き免除を求める証明願

石垣市議の内原英聡氏が県への情報公開請求で入手した、石垣駐屯地の開発許可手続き免除を求める証明願

開発許可不要に「瑕疵」
「公益上必要」と県も容認
島田長政さん ㊦

 島田長政さん(79)は、父の借金を肩代わりするなど苦労して農業をしてきただけに、農地の大切さを人一倍感じている。

 それだけに、一定規模の農地を開発する際に必要な「開発許可」の手続きを県が踏まなかったことへの問題意識は人一倍強く、「重大な瑕疵だ」と語気を強める。

 開発許可は、都市計画法に基づき「都市計画区域」で開発行為をしようとする場合に「知事の許可を受けなければならない」とするもの。

 駐屯地が建設された、石垣市と宮古島市(伊良部地区を除く)は都市計画区域に指定されている。

 内原英聡市議が2021年に県への情報公開請求で入手した資料によると、中嶋浩一郎沖縄防衛局長(当時)は18年12月27日、都市計画法第29条第1項第3号の例外規定を根拠に開発許可手続きの不要を求める証明願を県知事に提出した。例外には「公益上必要な建築物」などがあり、県はこれを認めた。

 宮古島市でも同様の理由で県は開発許可の申請手続きを免除しているが、宮古の場合は前の施設のゴルフ場(千代田カントリークラブ)が建設時に開発許可申請手続きを踏んだ土地だった。

 石垣市の場合も同様にゴルフ場(ジュマールゴルフガーデン)だったが、農地法で申請が免除される「グラウンドゴルフ場」として運営がスタートしたため、新空港建設に伴う市内ゴルフ場の閉鎖で需要が高まったことを背景にゴルフ場へと移行した後も、開発許可は取られないままだった。

 この件について、21年の市議会で市は開発許可が必要だったかは判断できないとした上で、「調査した結果、都市計画法に基づく開発、市自然環境保全条例に基づく届け出は両方ともない。当該地の開発行為に関する文書は存在しないものと認識している」と答弁した。

 「開発されているからいいと防衛省は言うけれど、開発許可は取っていない。それを良しとするのは、県の怠慢だ」。

 島田さんは、候補地と言われて大規模な農地購入の動きも出ていた崎枝から建設地が平得大俣に変更されたのには、開発許可を省く狙いがあったとみて「こっちも本当は(開発許可を)取らなきゃいけないんだけど押し切った」と指摘する。

 ジュマールゴルフガーデンがあった土地は、ゴルフ場になる前はパイン畑が広がっていた。

 「あそこをちゃんと土地改良すれば、40町歩あれば20戸の専業農家がつくれるんだよ。農地や自然保護のことも考えて、農村のことにも聞く耳を持ってほしい」。

(三ツ矢真惟子)

(次回は26日に掲載)

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