西表ウミショウブ守って 三菱電機が保全柵30基寄贈
西表島に自生し、環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類に指定されている海草「ウミショウブ」の消滅危機を食い止めようと、三菱電機㈱=本社東京都=は2日、保全柵30基を竹富町に寄贈し、高那海岸沖に設置した。同社は今後町と連携した調査・実験を行いながら、最新技術を用いた新たな保全対策を検討し、資源回復を目指していく。
同社は気候変動の大きな要因である二酸化炭素の削減に向けた取り組みを進めており、その一環で海草やマングローブ林といったブルーカーボン生態系に着目したフィールド調査、保全活動を実施している。今回はアオウミガメの採食などで絶滅危機に瀕している西表島のウミショウブに着目し、支援に至った。
7月22日に「西表在来植物の植栽で地域振興を進める会」(高相徳志郎代表)の取り組みを支援する形で、高那海岸沖約440平方㍍にわたり、保全柵30基を設置。柵は長さ3㍍、幅1・5㍍、高さ1㍍の大きさで海底土壌にそれぞれ杭で固定されている。保全柵はこれまでに環境省が干立、祖納、美田良浜沖に3基、西表財団などが崎山湾沖に1基を設置しており、今回で5カ所目となった。
同社によると、設置以降、柵の中のウミショウブは回復の兆しがみられているといい、今後は他の保全場所と連動した成長度合いのモニタリングなどを行う予定。また、同社技術を活用し、光や音でウミガメがウミショウブを避けるような新たな保全手段も検討していく。
2日に町役場で行われた贈呈式で同社サステナビリティ・イノベーション本部の小黒誠司本部長は「ウミショウブが順調に成長しておりうれしく思う。ネイチャーポジティブの実現に向けて今後も町と連携し、よりよい保全の方法を模索していけたら」と語った。
前泊町長は贈呈に感謝し、「このような活動が継続的に行えるよう体制を構築し、環境保全、食害防止、藻場の保全といった対策、地元児童生徒に対する海洋教育の場としての活用を検討していきたい」と述べた。
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