「観光のためなら反対」
農家から否定的な意見も
石垣市が整備を計画する「石垣市狩猟者研修センター(射撃場)」をめぐり、農家から必要性に疑問の声が出ている。市は、猟銃を所有する農家を増やし「自分の畑は自分で守る」ことなどを目的に構想を練っている。同センター整備計画は、農家有志や狩猟者新規取得希望者からの要望・陳情を受けて進めているが、一部から「害獣駆除限定なら施設は必要だが、クレー射撃など観光のためなら反対」、「銃の管理費や弾代など、経済的な負担が心配だ」と否定的な意見も出ている。
市の基本計画では、約52億円の建設費を投じて、散弾銃やライフル銃などが使用可能な施設を整備する。農作物の鳥獣被害を防除するため、農家自らが猟銃・空気銃免許の取得、更新を行いやすくする。害獣駆除に限定した研修センターだと採算が合わないため、市はスポーツ競技として射撃大会開催などで競技者を呼び込む方針。
現在、免許の取得・更新の際は、沖縄本島や九州に出向いて受験や手続きを行っているが、同課によると旅費、宿泊費などの負担が課題。石垣島内に施設が完成することで解消を狙う。
こうした市の計画に対し、各農作物の生産者からは賛否の意見が浮上し、農家の免許取得率を上げようという案が揺らいでいる。農家への取材で最も多かった不安要素は、銃を所有することで生じる維持管理費用の負担だった。
石垣島さとうきび生産組合の伊敷繁光組合長は「銃を持つとお金もかかる。私自身、畑がバンナ公園の隣にあり、鉄砲を使った猟は禁止区域の対象になっている」と話す。
JAおきなわ八重山地区パイン生産部会の盛山信範部会長は「開発や土地改良がどんどん進み、イノシシの出没エリアも広がっている。銃だけじゃなく、わなの免許も一緒に取れるようになれば助かる人もいるのでは。ただ、直接殺傷するとなると気が引ける」と慎重だ。
石垣市甘しょ生産組合の仲山忠司組合長は「駆除目的なら仕方ないが、クレー射撃大会とか観光目的だと話が違ってくる。猟銃よりもわなの免許取得や設置費用の支援を拡大した方がいいのでは」と提案した。
沖縄県猟友会石垣地区の会員によると、狩猟税、保険、猟友会の会費など年間4万円近く支払う人もいるという。弾代もばかにならない。ある会員は「弾代は年間4万円程度かかっている。行政から助成もあるが、ほとんど赤字。箱モノを造る前に、渡航費の助成額を増やした方がいいのではないか」と首を傾げた。
整備計画を担当する農政経済課は、2020年11月に農業従事者112人、狩猟者新規取得希望者16人から「センター設置の要望や陳情があった」として、計画推進の根拠を示している。
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