除草に効果絶大
【西表】田植え後に水中をかき混ぜて光を遮ることで雑草の成長を抑制する「アイガモロボ」の実証実験が、有機農法で米作りを進めている大浜農園(大浜一将代表、竹富町西表)の美田良地区で行われている。これまでの実験から大浜代表は「除草作業が10割削減された」と効果を実感、「有機農業の大きな一歩になる」と評価している。
アイガモロボは、環境負荷の低い農産物の生産・販売を通じて農業者の所得向上を目指す㈱NEWGREEN(山中大介代表取締役CEO、東京都)が開発したもの。世界自然遺産を守る取り組みの一環になればと西表島での実証実験を持ちかけ、賛同した大浜農園が2021年から受け入れ、今年度からは改良を加えた新型の安価版アイガモロボに変えている。
同ロボは水に浮きながら太陽光発電で得られる電力で自律航行し、アイガモの足の役割を果たすブラシ型パドルが水中をかき回し、水を濁らせて雑草の光合成を防ぐ。長さ80㌢、幅90㌢、高さ30㌢で重量約5㌔。衛星利用測位システム(GPS)を使用するため水田の隅々を航行することができる。
同ロボは除草効果のほか、温室効果ガスのメタンの排出抑制にもつながるとされている。日本で最も多くメタンを出しているのは水田。同ロボの水中かくはんで酸素を取り込んでメタン資化性菌という微生物を増やし、同菌がメタンを炭素と水に分解するという。炭素が肥料となるため米の収量も上がる。
同社が農研機構らと行った実証実験では除草回数が58%減、収量が10%増になっている。
メタンについては東京農工大学大学院の大川泰一教授らが排出量を分析する装置を導入し、大浜農園の水田で1日から3日間、調査を行っている。竹富町の協力を得て町所有の電気自動車から電源の供給を受けている。
大浜農園では実証実験を進めるとともに改良前の同ロボを1台購入して利用しており、大浜代表は「これまで除草に悩まされきたが、ロボがあればスイッチ一つで除草ができる。除草剤を使うと生物多様性に負の影響を与える。自然に負荷を与えない有機農業をぜひ広めていきたい」と話しており、来年から販売が予定される新型安価版の導入を模索していく。
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