銃器使った空包訓練想定 陸自石垣駐屯地西側の取得予定地
- 2024年08月25日
- 地域・教育
生徒実習、牛の放牧環境悪化の懸念
防衛省が今年度に取得を予定している陸上自衛隊石垣駐屯地西側の民有地(5・6~5・7㌶)をめぐり、沖縄防衛局がことし7月30日に県立八重山農林高校(中村幸弘校長)へ計画を伝えていたことが分かった。取得予定地は、同校の放牧地や演習林に隣接。沖防局によると、取得後は銃器を使った空包訓練を想定している。同校の実習や近隣住民の生活に配慮して訓練を行うとしているが、内容によっては生徒の実習や牛の飼育環境の悪化も懸念されている。
八重農へは防衛局の担当課長らが来校して中村校長と面会、資料を用いて計画内容を伝えた。取得予定地では新隊員の教育、災害時対応の人命救助・浄水、駐屯地の警備に係る訓練を行う。警備訓練では銃器を用いた空包訓練も予定する。
空包は、小火器に用いる弾薬の一種。音だけが出るようにした実演・儀礼用。弾丸の代わりに木や紙の栓を薬きょうの先に詰めているという。
昨年9月30日、同駐屯地で隣接する開南地区の住民向けに空包訓練を実演。大きな音が集落にまで響き、白煙や焦げた臭いが流れ込み住民を不安にさせた。沖防局は、取材に銃器訓練で実弾は「用らない」と回答している。
駐屯地西側で取得予定の民有地は現在、牛の放牧や牧草地として使用されている。駐屯地西側は境界が入り組んで不整形となっているため、そこを整えるために「取得する」(沖防局担当)という。
取得後に工作物や建物の建築は未定だが、米軍の使用については「未来永劫ずっと米軍と共同訓練で使わないとは言い切れない」と否定しなかった。
取得後は周囲を外柵で囲むが、隣接の県有地は同校のグリーンライフ科(1~3年73人)とフードプロデュース科同(同)が最低でも週1回の割合で使用。牛の放牧地は、フードプロデュース科の職員や生徒が繁殖牛の世話・体調管理のため立ち入る場所となっている。
中村校長によると、牛がストレスの引き金になり得るヘリコプターや大型機材を使用した騒音がないか確認すると、沖防局は「それはない」と否定したという。
中村校長は取材に、防衛局に対し「われわれは取得計画をどうこう言う立場にない。ただ、この場所で教育をきちんとしていく責務があることを伝えた」と説明。また、「われわれだけでなく県教育委員会にも内容を報告するよう求めた」と注文をつけ、沖防局から承諾の意向を受けたという。
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