サンゴ大規模白化の恐れ
- 2024年08月20日
- 自然・科学
石西礁湖の海水温が近年、大規模白化があった年の水温を上回り、日平均水温が過去最高を記録する31・9度に達している。30度を超える日が続くと白化が進行し、サンゴの死に至る可能性が指摘されている。台風5号の通過後も水温の高い状態が続いており、浅い海域では海面からも白くなったサンゴが目立ち始めている。進行する白化現象を目の当たりにしているダイバーや漁業者、釣り人らからは海洋環境の急激な変化に対して心配の声が上がっている。
石西礁湖をモニタリングする環境省の海洋観測ブイは、生態系を支える以外にも漁業や防災に重要な役割を果たすサンゴ礁を守ろうと2008年7月に設置。竹富島と小浜島の間で、水温のほかに塩分や濁度、流向・流速、波高などを毎時、観測している。
今年の同海域の日平均水温は6月上旬から前回の大規模白化があった22年の計測値を上回り始めた。6月23日以降はサンゴの白化現象が深刻化する30度を超える日が継続。
7月上旬からは31度を超える日が続き、7月19日には観測史上最高となる31・9度の日平均水温を記録した。1時間ごとに計測される水温は32度を超える時間帯もあり、サンゴの生息に厳しい状況が続いている。
石西礁湖の近年の大規模白化は1998年や2016年、22年に発生。このうち16年と22年には、サンゴの9割以上が白化する事態となった。
6月から続く高水温で浅い海域を中心に白化現象が見られ、国内最大級のサイズを誇る名蔵湾のコモンシコロサンゴ群体(長さ24㍍、高さ10㍍)でも白化が確認された。
環境省石垣自然保護官事務所の近藤千尋自然保護官は「近年、大規模白化が発生するサイクルが短くなっており、サンゴの回復力の低下が懸念される」と説明する。
生命百景色写真家として八重山のサンゴを撮り続けている南條明氏は「繰り返しサンゴの大規模な白化現象が発生している。このままの変化がさらに進めば、数十年後には本当にサンゴが生息できない海洋環境へと変化してしまう現実味を帯びて来ているのではないか」と危機感を募らせた。
石垣島の沿岸域でカヤック釣りを趣味とする50代男性は「13日に崎枝南浜から少し沖に行ったところで、白化しているサンゴを確認した。海面からでもあちこちに白いサンゴが確認できた。9日にも同じ場所に行ったが、その際に白化サンゴは見なかった。わずか数日でこんなに白くなるのかとショックだ」と話した。
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