石垣牛、冷凍コンテナで初輸出
石垣市内の輸出業者と台湾の輸入業者間でことし3月に契約締結のあったJA石垣牛の取引が10日、始まった。1頭分の枝肉368㌔を載せた琉球海運の「みやらびⅡ」(1万184㌧)が同日午後2時50分に石垣港を出港、翌11日午前6時半に高雄港に到着した。マイナス25度の冷凍コンテナでの輸出。石垣港から冷却装置を備えたリーファーコンテナで生鮮食品を海外に出荷するのは今回が初めて。島内でと畜から輸出までを可能とする道筋が見えてきた。
石垣牛は、㈱いしがきライブストック(濱川忍社長)=石垣市大川=が輸出し、高雄港を拠点に置く中澳股份有限公司(劉家亭CEO)が輸入した。沖縄ヤマト運輸㈱が輸出に関する全般の手続きを行い、琉球海運グループの八重山港運㈱が通関手続きを行って海上輸送した。石垣牛を輸入した同公司が台湾内のホテルやレストランに販売する予定だ。
八重山食肉センターでは台湾出荷向けのと畜ができないことから、ライブストック社は今回、石垣牛2頭を鹿児島県内の食肉加工処理施設㈱ナンチクでと畜。これを石垣に空輸し、1頭分は台湾最大級の食イベント「2024台湾美食展」(2~5日)用に東京経由で台湾に運び、もう1頭分を今回、テストケースとして海上輸送で直接、台湾に送った。
ライブストック社によると、台湾の取引業者のグループ企業が11月に高雄と台北で石垣牛を提供するレストランをオープンさせることから、今後これに合わせて輸出し、その後は現地での需要を見ながら輸出回数を検討する。
八重山食肉センターが台湾とシンガポールへの輸出に向けた施設整備が予定通り今年度内で完了すれば、来年4月からは島内でと畜から輸出まで出荷できるようになる。
ライブストック社は「石垣牛だけでなく、沖縄本島の和牛も八重山食肉センターでと畜、加工して輸出ができるようになる。沖縄全体の畜産業に大きく寄与できると思う。台湾に一番近いという親近感と地理的優位性を生かし、台湾マーケットで需要を増やしていきたい」と話している。
八重山で唯一通関士の資格を持つ八重山港運の阪井晴美営業課係長は「リーファーコンテナでは肉などの生鮮食品でもまとまった量を送れ、翌日には高雄に届く。石垣でと畜ができるようになれば(インパクトは)大きいと思う」と需要増に期待する。
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