「有事」想定 与那国で意見交換会
- 2024年08月03日
- 社会・経済
【与那国】与那国町は2日夜、「台湾有事」などを想定した国民保護計画に基づく島外への住民避難について、町民との意見交換会を与那国町離島振興総合センターで開いた。昨年9月~10月に各集落で行われたのに続き2回目。昨年同様、航空機で1日で全島民を避難させる計画で、要介護者や島内での残留可能性者数、水道・ガスなどのライフラインの供給状況、家畜の扱いなどが具体的に示された。町民約30人が出席、避難後の生活などで不安の声が相次いだ。
与那国空港に就航可能な最大機のB738(JTA)を福岡空港まで1日11便を運行させ、1日で全島民を避難させる。住民の負担軽減のため可能な限り航空機を活用し、船舶は航空機による避難が困難な要介護者やその支援者、ペット同行者を想定する。
武力攻撃に至る前段階である「武力攻撃予測事態」での島内残留者数について、避難の初期段階は75人、最終段階は36人、完了後は10人と試算。内訳は、役場職員、消防団員、空港職員、水道・電力関係者、航空・船舶・運輸関係者などで一般住民は含まれない。
島内ライフラインは、避難最終段階までは電力・ガスの供給を維持、最後の避難住民と共に職員も避難して供給停止となる。水道・通信は停電と同時に停止される。水道は非常用発電機により給水できる可能性があり、通信は年度内に衛星通信のスターリンクを利用可能とする方針。
家畜については、避難時は牧場へ放牧、水飲み場の確保や補償について今後検討する。
町民からは「島の東側に避難場所をつくるのが当然だと思う」、「米軍が与那国で訓練しているなかで〝特定の事態を想定していない〟というのは納得いかない」、「米軍や自衛隊が守ってくれるという錯覚に陥る」などの意見や不安の声が上がった。
避難後の支援体制について、国からは「生活に困らないようにする『救援』は国民保護法で明記されているので、少なくとも避難先での食事や生活必需品を送り、生活に困らないようにすると法律上にも書かれている」と説明があった。
また、避難期間については「1カ月を想定しており、観光客はそれぞれの地域へ戻る予定。中長期の避難は今後考えていく」とした。与那国町の避難先は佐賀県。町からは有事の際に避難先での生活に充てる基金として1千万円を積み立てたことが報告された。
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