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「有事」想定 与那国で意見交換会

「台湾有事」を想定した島外への住民避難について町民との意見交換会が開かれた=2日夜、与那国町離島振興総合センター

「台湾有事」を想定した島外への住民避難について町民との意見交換会が開かれた=2日夜、与那国町離島振興総合センター

避難後生活 不安の声 町民30人出席

 【与那国】与那国町は2日夜、「台湾有事」などを想定した国民保護計画に基づく島外への住民避難について、町民との意見交換会を与那国町離島振興総合センターで開いた。昨年9月~10月に各集落で行われたのに続き2回目。昨年同様、航空機で1日で全島民を避難させる計画で、要介護者や島内での残留可能性者数、水道・ガスなどのライフラインの供給状況、家畜の扱いなどが具体的に示された。町民約30人が出席、避難後の生活などで不安の声が相次いだ。

 与那国空港に就航可能な最大機のB738(JTA)を福岡空港まで1日11便を運行させ、1日で全島民を避難させる。住民の負担軽減のため可能な限り航空機を活用し、船舶は航空機による避難が困難な要介護者やその支援者、ペット同行者を想定する。

 武力攻撃に至る前段階である「武力攻撃予測事態」での島内残留者数について、避難の初期段階は75人、最終段階は36人、完了後は10人と試算。内訳は、役場職員、消防団員、空港職員、水道・電力関係者、航空・船舶・運輸関係者などで一般住民は含まれない。

 島内ライフラインは、避難最終段階までは電力・ガスの供給を維持、最後の避難住民と共に職員も避難して供給停止となる。水道・通信は停電と同時に停止される。水道は非常用発電機により給水できる可能性があり、通信は年度内に衛星通信のスターリンクを利用可能とする方針。

 家畜については、避難時は牧場へ放牧、水飲み場の確保や補償について今後検討する。

 町民からは「島の東側に避難場所をつくるのが当然だと思う」、「米軍が与那国で訓練しているなかで〝特定の事態を想定していない〟というのは納得いかない」、「米軍や自衛隊が守ってくれるという錯覚に陥る」などの意見や不安の声が上がった。

 避難後の支援体制について、国からは「生活に困らないようにする『救援』は国民保護法で明記されているので、少なくとも避難先での食事や生活必需品を送り、生活に困らないようにすると法律上にも書かれている」と説明があった。

 また、避難期間については「1カ月を想定しており、観光客はそれぞれの地域へ戻る予定。中長期の避難は今後考えていく」とした。与那国町の避難先は佐賀県。町からは有事の際に避難先での生活に充てる基金として1千万円を積み立てたことが報告された。

 

  • タグ: 与那国避難
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