九州避難 住民ら不安視
- 2024年08月02日
- 政治・行政
「有事」を想定した石垣市民らの島外避難と市内でのシェルター整備計画に関する説明・意見交換会(石垣市主催)が1日夜、石垣市民会館大ホールで開かれた。市が現在作成している避難実施要領(避難パターン)の進捗状況を説明、参加した市民からは九州避難に対する疑問や不安視する声が上がり、ろう者からは障がいを持つ人へ「情報保障」を求める意見が出た。市などは、聴取した意見を避難パターンに反映可能か検討していく。国民保護やシェルター関連の説明会開催は市で初めて、200人余の市民が参加した。
意見交換会は、先島地域住民の避難先が山口・九州各県になったことを6月3日の第163回九州地方知事会議で各知事に伝えられた報道があり、市民の関心も高まりつつあるとして、現在の避難パターン案について市民と意見交換した。説明側に内閣官房、消防庁国民保護支援調整室、県知事公室防災危機管理課、中山義隆市長ら16人が出席。
市防災危機管理課の富浜公雄課長が、避難は他国から武力攻撃される前の「予測事態認定」後、安全性が担保されていることを前提に行われる。石垣市民は空路で福岡空港に到着した後、避難先の山口、福岡、大分3県に陸路で移動。海路は石垣港から平良港、那覇港を経由して鹿児島港に入港する方向で調整中。
シェルターは野崎雅治企画政策課長が石垣市役所庁舎隣で計画中の防災公園(約3・2㌶)地下に整備する方針を示した。中山市長は、収容人数を千~2千人で想定していることを明かした。
意見交換でろう者の本村順子さん(64)は、避難時に身体的なハンディキャップにより情報を収集することができない者に対し、代替手段を用いて情報を提供する「情報保障」の確保を訴えた。中山市長は「通訳のスタッフと一緒に逃げられないか、皆さんがバラバラにならないよう検討したい」と回答。
新川から参加した男性は、自衛隊・米軍部隊や装備品を石垣に輸送した航空機・船舶で市民を避難させないか疑問視。中山市長は「有事が差し迫り、米軍や自衛隊の部隊が配備されるような状況で住民避難になることは考えていない。また、自衛隊の機材を使って逃がすのは全く想定していない」と否定した。
意見交換会終了後、79年前に疎開していた台湾で生まれたという大島忠枝さん(79)は「この避難計画は実質的な疎開と変わらないのでは。私は避難したくない。(日本政府には)中国などとの平和外交をお願いしたい」と切実に語った。
同説明・意見交換会は2日伊原間公民館、5日川平公民館、6日市役所で行われる。
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