「日本最南端の日本酒」製造へ
泡盛メーカーの請福酒造㈲(漢那憲隆社長)=石垣市宮良=が日本酒造りに挑戦する。ことし3月、沖縄県で唯一、日本酒造りを許可されている泰石酒造=うるま市=から事業承継し、現在休止中の日本酒製造を石垣島で再開する。島産原料にこだわった「日本最南端の日本酒」を造り、2026年夏ごろの販売開始を目指す。
石垣島は県内有数の米どころで、生産量全体の半数以上を占める。ひとめぼれを中心に栽培され、新米は毎年5~6月ごろに超早場米として市場をにぎわせている。その米作りを支えているのが、県内最高峰の於茂登岳(標高526㍍)を筆頭に連なる山から流れる軟水。日常生活で使用される水は主に山や川から流れる伏流水を使用している。
漢那社長は「酒造りに必要な米や水など原料が島で手に入る。石垣は恵まれた島。県内で日本酒造りに一番適している」と話し、「冷酒に向いた辛口で軽い口当たり」の味を追求する。
酒蔵で使う石垣島産の米は、生産量に合わせて少しずつ増やす計画。「優先させるのは食用米。最初から全てのお米を石垣島産にすると食用が足りなくなる。協力してくれる農家さんに作付面積や生産量を増やしてもらって、数年後には全てを石垣島産でまかないたい」と構想する。
島産原料にこだわるのは「農業と加工業の可能性を広げて発展させたい」という強い思いから。「農業にとって加工は不可欠。例えば、売れ残ったお米を購入してくれる加工業者がいれば、消費のベースアップや農業経営の安定化にもつながる」と提案。今後、農業と加工業のマッチングが増えて産業の幅が広がることに期待を寄せる。
日本酒製造用の工場は、同社前の道路を挟んだ社有地で計画。現在、設計などに着手しており、来年に着工する。
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