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「影を慕いて」。古賀政男さん作曲、藤山一郎さん…

 「影を慕いて」。古賀政男さん作曲、藤山一郎さんの歌で昭和7年に歴史的な大ヒットを記録した。古賀さんご本人のギター弾き語りも名調子で、シニアの皆さんご存じ名曲中の名曲だ▼ただし、南の島々のわれらは猛暑の夏、きつい日差しを避けてあっちの木陰、こっちの日陰と伝い歩き、少しでも涼しくいたい魂胆。愛しい人の面影や「幻の影」ではなく、木陰や日陰が恋しい「陰を慕いて」▼思えば昭和期の高齢者は盛夏、着物姿に黒いコウモリ傘をさして威風堂々たるもの。それでも木陰があればしばし憩い、胸元や袖先に涼風を入れ、ひと息ついてから所用に戻った▼そんな緑陰が恋しい日々が続く。あの頃、子どもでさえ登下校にどの道を通れば涼しいか、その日の道を選んだものである▼個人的な好みを申せば、登野城2町内の八重高より1本南、登下校は快適そのもの。大川なら海星小の1、2本南の通り。新川は石中西側一帯の、いずれも福木の緑陰がひときわ濃く涼しい通り▼人それぞれに原風景があるに違いない。もとよりそれらも年々うつりかわり、緑陰が減ってゆく時代。まちに潤いや風情が少なくなってゆく現実に一抹の寂しさを覚える。令和の子らはどこで、何に涼を求めるのだろう。きびしい日差しに令和の「陰を慕いて」を思った。(慶田盛伸)

 

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