演劇でアンパル表現
2005年にラムサール条約湿地に登録された石垣市の名蔵アンパルをテーマにしたミュージカル(劇団シンデレラ、ユースラムサールジャパン主催)が27日午後、名蔵小中学校で開催された。アンパルの自然環境が崩れて野生動植物の生息域が失われつつある状況を演劇で表現し、世界の普遍的な宝「名蔵アンパル」を守っていくにはどうしていくべきか、考えるきっかけを与えた。
物語は、主人公の女子中学生が幼少期に祖父が暮らす名蔵地区へ遊びに訪れたところから始まる。コロナ禍を経て再び遊びに訪れた名蔵アンパルで、女子中学生はカンムリワシの生息域が開発などにより脅かされていることを知った。カンムリワシやその他の野生動植物が、人間の都合で棲む場所が失われていく問題を提起し、女子中学生は、ラムサール条約湿地の環境が変化するリスクを背負ってまで人間の利益を追求することが正しいのか、観客に問いかけた。
劇団シンデレラ(フローレスともこ座長、劇団員30人)は、愛知県を拠点に演劇を通じて湿地の大切さを伝えている。これまで国内の同湿地53カ所のうち、27カ所で公演した。
名蔵アンパルはことし1月に小中学生などの劇団員と座長らが取材で訪れ、子どもたちが肌で感じた生き物の印象やアンパルが置かれている現状を考察し、台本を作成した。
劇終了後、フローレス座長は「自然が好きな方々にアンパルの魅力を知ってもらって守っていく動きが広がってほしい」とミュージカルに込めた思いを語った。
劇は、漫湖水鳥・湿地センター、久米島ホタルの会、アンパルの自然を守る会などの協力を得て実施。名蔵中学校の生徒も特別出演した。
鑑賞した仲若美奈子さん(52)=石垣=は「新聞や講演会でアンパルのことを学ぶより、劇は新鮮で楽しめた。アンパルにいろんな生き物がいることも改めて知ることができた」と話した。
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