パーレークイに熱狂 黒島豊年祭
- 2024年07月21日
- 地域・教育
【黒島】ことしの豊作を神に感謝し、来夏世の五穀豊穣や住民らの無病息災を願う黒島公民館(宮喜みゆき館長)の豊年祭が20日、宮里海岸で執り行われた。黒島独特のパーレー(爬龍船)競漕「パーレークイ」やミーラク(弥勒)など多彩な伝統芸能が奉納され、島民や島外で暮らす郷友らが島の世果報を祈った。
島内四つの村で行うパーレークイは干潮に向かう午前中に宮里村と仲本村、満潮に向かう午後に東筋村と保里村がそれぞれ競漕。各村代表の走者ウーニーが浜辺で長老(杯取らし)から塩と杯を受けた後、舟に向かって疾走。舟に乗り込んで沖の浮き(フキ)を回収して、長老のいる浜に戻る速さを競った。
白熱した勝負の結果、ことしは仲本村と保里村が勝利。競漕を終えると漕ぎ手や女性たちが旗頭を中心に円陣を作り、「豊年ジラバ」を歌いながら巻き踊りを披露。会場の盛り上がりは最高潮に達した。
仲本村のウーニーを初めて務めた宮澤勇気さん(22)=東京都在住=は「村の代表なので絶対に負けない気持ちで走った。勝てて気持ちいい」と感激した様子。今回は憧れの大役に自ら志願したといい「こういう格好は恥ずかしいが誇りに思う。島の大切な行事に参加できるだけでもありがたいし、これから島を盛り上げるのは僕たちなんだと感じる良い機会になった」と語った。
このほか奉納芸能では宮里村のミーラク行列、東筋村のカサブドゥン、ガッキブドゥン、仲本村のカマオドリ、黒島小中学校の児童生徒によるカサブドゥン、コームッサ、郷友会と公民館による棒術が奉納された。最後は全員で力を合わせて舟を陸に揚げる「ユー揚げ」で締めくくり。「ヘンザユイサ」の掛け声で参加者全員で世果報を願った。
祭りを最後まで見届けた宮良当成さん(89)=保里=は「ことしは部落同士の対抗がとても面白かった。保里も勝って最高」と笑顔。「最近は子牛セリの下落が続いているので、これから値が戻ってほしい」と願った。
宮喜館長は祭りをつくり上げ、継承してきた先人たちへ感謝しながら「伝統文化を次世代まで存続させつないでいくことが大切」と決意を語った。
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