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お米や農業に関心のある人なら…

 お米や農業に関心のある人なら、「台中65号」はなじみのあるイネかもしれない。日本統治期に台湾で育種された蓬莱米のひとつだ。八重山支庁の技手だった仲本賢貴(字石垣出身、1888~1939)によって石垣島にも導入された▼6月に台湾大学を訪れ、研究用の農場で台中65号が栽培されているのを見た。同行した研究者によると、もうひとつの別の種と一緒に栽培して実験しているとのことだった▼仲本の功績を顕彰しようという動きは戦後10年に当たる55年8月に起きている。本紙は当時、「(蓬莱米導入の当初)この島にはよくありがちな悪宣伝に悩まされたり、あるいは消極的な妨害にあったり」したと書いている▼新しい技術は革新的であるほど、抵抗に遭いやすいのであろう。筆者も、新しいことについ腰が引けてしまうので「ありがち」のひとりである▼仲本の依頼を引き受けた数少ない農家たちは、その後、2倍以上の収量を達成。この実利が普及につながる▼来年は、仲本が蓬莱米を石垣島に持ち込んでから百年の節目だ(6月27日付本紙3面)。台中65号によって二期作が奨励されることになり、ジャーナリストの三木健氏によると、耕作体系は大きく変化した。仲本が台中65号で実らせたのは、石垣島の農業イノベーションだった。(松田良孝)

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