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梅雨が明けた。とたんに海も空も、山も…

 梅雨が明けた。とたんに海も空も、山も、ピーカンの夏色になった。窓を開ければ夏至南風(かーちーばい)がカーテンを揺らして駆け抜けてゆく▼今を盛りに咲く花々もみごと。ゴールデンシャワーは黄金色に輝き、日が落ちればサガリバナがふくいくと香り出す▼夏色である。まごうことなく島々の夏になった。でも、夏色はまた、鎮魂の祈りに包まれる季節でもある。沖縄では「ありったけの地獄を集めた」と言わしめた地上戦が組織的に終結したが、八重山の島々で戦争マラリアがしょうけつを極めるのはこれから。白水など強制避難より住民がそれぞれの集落に戻ってからである▼家族のけんめいの看護もかいなく、相次ぐ死者で石垣町営火葬場では長い葬列を待てず、薪を積み上げてだびに付す事例もあったと伝わる▼多くの犠牲者をだした波照間島でこのほど慰霊碑と併せて、旧軍に処分された牛馬を悼み、飢えをしのいだソテツに感謝する碑が建立された。悲劇から幾星霜、なお新たに建立する島民の思いは限りなく深く、共感する▼夏色はまた、来夏世(くなつゆ)の豊じょうと安ねいを祈る色でもある。それを知ってか知らずか、日米は昨年に引き続き共同実動訓練を実施する。島々の夏色に迷彩色は似つかわしいか。めぐり来る夏にそれを思う。(慶田盛伸)

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