石垣牛、台湾輸出へ 8月から定期的に
台湾の輸入業者と㈱いしがきライブストックの契約締結に参加する関係者ら=3月21日、那覇市内の飲食店(いしがきライブストック提供)
今年度で設備を整備し、来年度から台湾とシンガポールに出荷できるようになる八重山食肉センター=4月12日
「JA石垣牛」が8月から定期的に台湾向け輸出される見通しだ。アジアへの輸送実績のある㈱いしがきライブストック(濱川忍社長)=石垣市大川=がJA石垣牛肥育部会(上江洲安生部会長)とJAおきなわ八重山地区畜産振興センターの協力を得て、台湾の輸入業者と契約を締結、8月から取引を開始する。今年度は九州を経由した輸出となるが、来年度からは八重山食肉センターでと畜が可能となるため石垣島から直接出荷できるようになる。
石垣市畜産課によると、食肉センターでの石垣牛と畜数は2021年度から741頭、791頭、785頭と増加傾向にあり、今年度は930頭前後を予定する。肥育部会などによると、石垣牛以外の石垣島産和牛を含めると1200頭を越える見込み。
一方、物価高騰による枝肉需要の伸び悩みがみられる上、子牛セリ価格低迷に伴って子牛を出荷せずに肥育する畜産農家も増えていることから、価格の安定化に向け海外市場の開拓など新たな出口戦略が求められている。
ライブストックは昨年8月から台湾の輸入業者・中澳股份有限公司(劉家亭CEO)と交渉を行い、同年11月からは石垣牛肥育部会などとも協議して協力体制を確認、同年12月に同公司と基本合意に達し、今年3月に那覇市内で売買契約を締結した。
ライブストックは8月から月1頭のペースで出荷を予定する。台湾輸入業者のグループ企業の1社が10月に台中で、来年には台北で開業を予定しているレストランで石垣牛をメインディッシュに予定していることから、ことし10月以降に取引が本格化する見通し。
食肉センターは現在、台湾が求める輸出牛肉の取り扱い基準を満たしていないことから、市が台湾・シンガポール向けに輸出できるよう今年度で食肉処理施設を整備する予定だ。
石垣牛肥育部会の上江洲部会長は「九州を経由すると、運賃がかかり、衰弱など牛の事故リスクもある。食肉センターでと畜して出荷できるようになれば輸送費も低減され、リスクもなくなる」と喜ぶ。
ライブストックで台湾への輸出業務を担当する上原常弘取締役は「食肉センターで出荷できるようになればコストも抑えられるので輸出量を増やせる」と期待、台湾の取引業者も「台湾での石垣牛のブランディングを共同で行い、高品質・高単価で安定的なアッパー向けマーケットをつくっていきたい」と話しているという。
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