石垣島製糖工場建て替え 事業費169億円で調整
石垣島製糖工場の建て替えをめぐり、事業費169億円を基準に調整が進んでいることが14日、行われた石垣市議会の花谷史郎、田盛英伸両氏の質問で分かった。同工場は今年で築63年と老朽化が進んでいる。当初の試算では建て替えに280億円以上が見込まれていたが、一部設備の再利用や見積もりの再検討などを重ねて約40%の圧縮を図った。同社の西村剛志社長は取材に「新工場建設に向け、やっと議論のスタート地点に立てた」と述べた。
工場は1961年に現在の場所に建設。施設の修繕やボイラーの更新などを行いながら操業を続け、今年で築63年を迎える。
同工場の建て替えについては、2018年の石垣市長選で3候補が政策の一つに挙げるなど農業振興の課題として認識されていたが、多額の事業費がかかると見込まれることなどから具体的な議論が進まないでいた。
市や石垣島製糖など関係機関で構成する新製糖工場建設推進協議会も要請行動を進めていくことにしていたが、新型コロナのまん延などでほぼ棚上げ状態となっていた。
同社は、3月に開催された沖縄県分蜜糖製糖工場安定操業対策検討会議石垣部会の中で新工場建設にかかる事業費169億円を国や県、市、JAおきなわなど関係機関に伝えた。
国の事業などを活用した場合、同社の負担額は十数億円になると試算されており、費用的には現実味を帯びてきた。
課題として残るのが、事業主体の担い手。同社が事業主体となった場合は、毎年の固定資産税が億単位でかかるとみられ、同社の西村社長は「この額が現金として出ていくとなると事業の継続が困難だ」と訴える。
昨年、鹿児島県徳之島町の南西糖業徳和瀬工場では、中枢設備のボイラー発電機が故障。2カ月間もの長期にわたって工場が停止。同工場で処理予定だったサトウキビを受け入れてきた伊仙工場も停止する事態となった。
西村社長は「老朽化が進むと突然停止のリスクも高まる。新工場建設のタイムリミットは迫っている」と危機感を募らせている。
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