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北海道の知床岬で進められていた携帯電話基地局の…

 北海道の知床岬で進められていた携帯電話基地局の工事が中断している。サッカーコート1面分の広さに相当する太陽光パネルや2㌔に及ぶ電線の敷設などが含まれる大規模なものだが、絶滅危惧種のオジロワシの繁殖や植生への影響が指摘されたことから待ったがかかった▼知床半島沖で観光船が沈没した事故を受けて、国などが進める携帯電話基地局の整備計画だが、専門家などから動植物への影響や調査の不足が指摘され、国は計画の見直しを検討している▼東京都国立市では、完成間近の10階建て分譲マンションが急きょ解体されることになった。地域住民から寄せられた景観の悪化などを懸念する声に企業側が応じたためだ▼一部の部屋は、すでに売約済みで来月にも入居予定だったが、今後、反対運動が巻き起こった場合の企業イメージの低下を懸念したのだろう。いずれにせよ思い切った経営判断である▼どちらのケースも見通しの甘さ、拙速な仕事の進め方が問題の根本だが、「自分なら」と立場を置き換えると、その立ち止まれる勇気と判断は評価に値する▼日本の人口は減少に転じ、成長社会から成熟社会へ移行したと言われて久しい。物言わぬ生態系や市井の人の不安に耳を傾ける、そんな価値観を大切にする社会が当たり前になることを願う。(立松聖久)

 

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