東京品川にホテルをとった時のこと。最上階の…
- 2024年06月04日
- 不連続線
東京品川にホテルをとった時のこと。最上階の朝食会場で正面に東京タワーが見えた。これはもしかして。反対側の席に回ってみると、山頂の雪が朝日を浴びて輝く富士山。思わず息を飲んで写真を撮りまくった▼近くを飛ぶ飛行機は富士山が見えると機内アナウンスで案内する。乗客は窓に顔を寄せて眺望を楽しむ。若い頃は田舎者に見られたくなくて見慣れているふりしたものだが、おじさんになると別▼なだらかな稜線の美しさ。富士山ほど日本人に愛される山はない。江戸の名残の冨士見坂の地名や銭湯の壁画が今に伝える▼ならば訪日外国人だって富士山を見たい。それが人情。その眺望をめぐる「黒幕騒ぎ」は世界にどう映ったか。山梨県河口湖町である。コンビニと富士の構図がSNS上で大流行りし、外国人観光客が押し寄せた。迷惑行為や事故の危険から黒い遮へい幕を張り写真を撮れないようにした▼ほかに手だてはなかったか。地元のみが知る他の絶景ポイントへの分散案内とか、SNS活用の手法あれこれ。苦肉の策と理解しつつも黒幕に「拒否」感がほの見えないか▼全国津々浦々にあふれる外国人観光客。オーバーツーリズムは見過ごせないにしても、眺望はいったい誰のものだろう。正解はあるのか、南の島のわれらも考えさせられる。(慶田盛伸)
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