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飛行機の往来がまだ旧空港だったころ、那覇からの帰途…

 飛行機の往来がまだ旧空港だったころ、那覇からの帰途、島々や石垣市街地を機体の左側に見ながらゆっくりと降下してゆくのが好きだった▼コンパクトにまとまった都市機能、碁盤目の街並み、海岸から離れるほどに住宅街が広がり、点在する赤瓦、ひときわ濃ゆい御嶽の緑など伝統的な集落景観が息づいていた。わが家はあのあたりか、あそこは何だろう、あかずに見入ったものだ▼その眺望も微妙に変化しつつある。まるで櫛(くし)の歯が欠けるように空き地が増えている。例えば十八番街やその西あたり。かつてにぎわったであろう料亭の敷地跡か、赤瓦の家並みが整っていた区画が解体撤去され、さら地になっていて一抹の感慨を覚える▼ひと昔前、空き地ができればすぐに住宅が建ったり、貸し駐車場になった。車社会を反映して駐車場はすぐに埋まったが、今のような空き地の増え方だと、需要が追いつくか人ごとながら心配になる▼旺盛だった個人住宅やアパート建築の需要はどこへ行ったのだろう。代わって古民家再生の試みが各地に広がって関心を呼ぶ。いつの間にか増えつつある小さな「旅の宿」も多彩な変化の兆しか▼まちは生き物。日々うつりかわってゆくのを実感する。空からの眺望もノスタルジーの世界に遠ざかってゆくのだろう。(慶田盛伸)

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