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一戦交える覚悟」。聞く人を思わずドキリとさせる…

 「一戦交える覚悟」。聞く人を思わずドキリとさせるセンセーショナルな発言が飛び出した。与那国町の糸数健一町長である▼憲法記念日に東京都内で開かれた憲法改正を求める「公開憲法フォーラム」(美しい日本の憲法をつくる国民の会など共催)に登壇し、9条の改定などを主張。そのうえで対中国を念頭に「日本国の平和を脅かす国家に対しては一戦を交える覚悟がいま、問われているのではないでしょうか」と述べた▼「台湾有事は日本有事」(安倍元総理)、「戦う覚悟」(麻生自民党副総裁)などと同系列の発言。国境離島を預かる立場を強調されたかったか▼その与那国島が生んだ名歌「どぅなんすんかに」は、「与那国ぬ情け(なさぎ) い言葉(くとぅば)どぅ情け」と歌う。「軍事」とは最も遠いところに位置する概念であろう▼時に島の伝統文化の体現をも期待される町長なれば、発言には名歌への思いをわずかでも心にとどめてほしかった▼「すんかに」は続けて「命(ぬてぃ)ぬある間(あい)や とぅやいしゃびら」とも歌う。絶海の孤島であればこそ海を隔ててなお、つながり続ける人と人の絆や情愛。「命ぬある間」が思いの深さを表現してたおやかである。そのやわらかさは発言と真逆のところを志向する。なんた浜の情景を思った。(慶田盛伸)

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