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魚釣島、保水能力低下の恐れ 石垣市が尖閣諸島海域調査結果発表

尖閣諸島魚釣島への上陸調査を強調する中山義隆市長(中央)ら=10日夕、石垣市役所

尖閣諸島魚釣島への上陸調査を強調する中山義隆市長(中央)ら=10日夕、石垣市役所

調査した尖閣諸島の魚釣島(石垣市ホームページより)

多数のヤギ、大量ごみ確認

 石垣市は10日、尖閣諸島周辺海域と魚釣島の実態調査結果を発表した。今回3度目の調査で初めて魚釣島北側斜面で野生化した多数のヤギを確認。海岸の漂着ごみも大量にあった。島の植物はヤギの食害で減ったとみられ、12年前の東京都の調査と比較して川の数も減少、島の保水能力が低下している恐れがある。海上から陸上部分の調査はおおむね行えたとして、今後は上陸して自然環境調査の実現を目指す。

 島の調査は、ドローンを飛ばして島の北側全域を撮影。ヤギの群れが5カ所ほどで映っていた。調査業務を受託する東海大学の山田吉彦教授によると、ヤギにくばの葉が食べられてアダンが多く残っていた。植生は衰退傾向にある。

 調査団によると、1978年に日本青年社が魚釣島に上陸した際、関係者により雄雌各1頭のヤギが放逐され繁殖。野生化したヤギが増えて、植物の喪失で陸上生態系の崩壊、流出した土砂による付近近海の汚染といった影響が出ている。

 センカクモグラ、センカクサワガニ、センカクツツジなど島の希少な在来種の現状は不明。山田教授は12年前の調査で島にあった川が8本から2本に減っていた点を指摘。「ヤギが草木を食べることで土壌が流れ出し岩肌がむき出しになる。島全体で水を蓄える力がなくなって島が枯れてしまう恐れもある」と懸念を示した。海域調査では、100㍍より浅い水深の水温が27~28度あり、春季としては高いことが判明。魚影も確認した。海洋ごみは冬季の季節風と吹送流、黒潮で運ばれて島の北側に漂着している。

 島の環境悪化が進んでいることに中山義隆市長は「上陸調査は国の許可が必要だが、継続した調査を引き続き行ってデータをもって国に上陸許可を求めていきたい」と述べた。また、今回の調査に対して中国側が抗議をしている報道を受けて「尖閣諸島は日本固有の領土であり石垣市の行政区域。調査は領有権主張のためではない。周辺海域の実態調査をして環境保全、漁業を含めて経済的な利活用につなげたい。中国側の意見もあると思うが、そういう抗議は受け入れられない」と強調した。

 調査は4月25~27日にかけて2回実施。メディア関係者や国会議員も乗船した。

  • タグ: 魚釣島尖閣諸島海域調査
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