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「愛し合ってるかい」。最後に彼のステージを…

 「愛し合ってるかい」。最後に彼のステージを見たのは、20年以上前の年越しライブだった。友人と連れ立って、寒風吹きすさぶ海岸沿いの屋外ステージ。いつもの決めぜりふに会場は「愛し合ってる!」と応えた。昨日5月2日は、忌野清志郎さんの命日だった▼清志郎の原発政策を批判した「原発賛成音頭」やパンクロック風にアレンジした「君が代」は発売禁止の憂き目。オンエアを拒否したラジオ局に対しては、生放送で放送禁止用語を連発しながら批判するなど表現の自由への圧力に鋭く対立した▼権力には強硬な姿勢をとる反面、社会に対しては諧謔の精神に満ちた作品を通して、愛と希望を伝える力強いメッセージを発信。しかし2006年、病魔が彼を襲った▼闘病後、ジェームスブラウンのマントショーをオマージュして登場したNHK「SONGS」のスタジオパフォーマンスは圧巻。清志郎復活をだれもが確信した▼晩年の代表曲「JUMP」では、「夜が落ちてくるその前に もう一度高くジャンプするよ」と歌ったが、復帰の翌年、惜しまれながら逝去した▼清志郎の作品は心に響き、世界の憂いを断つための一筋の光となっている。58歳で彼が没して今年で15年。社会は愛し合っているのか。愛で満ちあふれているのか。「ふと考えこんだ」(立松聖久)

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